コラボ作品集 《雪》2
『明くる』
運が悪い人間とは、僕の事に違いない。
死にたくなる程の失態を演じた日。身体を縮めて歩く僕の目に入ったのは、今どき珍しい街頭テレビ。画面の中も灰色の雪景色。
「そうか…スキー競技の大会か」
自分には関係ない。通り過ぎようとした時、目を射る銀の光。思わず立ち止まり目を見張った。
雪が舞い散る、一面の銀世界。選手達の板が光を引いて煌めく。まるで白銀に輝く朝陽のように。
(…夜が明けた)
そう思った。
放心して眺めていると、身体がガチガチになっている事に気づいた。胸を広げてみると、何故か視界が開け、呼吸も楽になった気がする。
僕は背筋を正し、前に歩き出した。
俳句 kusabue
140字(×2=280字) 小説 悠凜
イメージ 翠
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