詩 The subconscious
夜明けの静けさの中で
繰り返し置き去った影
今日も来たかと眉を上げるお前は
滑稽に飛び跳ねる
異国の帽子屋のまねごとか
宮廷に巣食う
慇懃無礼な道化師か
「おやおや、神であっても影はついて回るのだぞ、ほれ」
あちらにもこちらにも見えるのは
いつものように
影と名のついた顔の不確かな存在
気まぐれに歌う者
算盤をはじく者
頷きながらおかしな絵を描く者
赤く光る玉を愛おしげに抱く者
何を聴いても答えずに
静かにしろとポーズをとる者
「どうした
ついてこいと言って欲しいのか」
結局は迷子のまの字も言えぬまま
睨み合った時間
今日もまた
置き去りにする影の気配を振り切って
白々とする世界に手を伸ばす
わたしは何を確かめようとしたのか
疼く背中にあるものを
夢と呼ぶのか
無意識と呼ぶのか
*愚者とも呼ばれる宮廷道化師について。
自由な振る舞いを許され、時に王へ助言を行う事もある。神に触れられた存在として、特権を持つとも言われた。
今回は無意識の側に焦点を当てて得体の知れない何かの比喩として道化師を借りたが、道化師の方に焦点を当てると、何が出てくるだろうかと、少し考えたりもする。
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