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花魁

 前回、花魁を思い書いた詩を出させていただきました。半年程前に作った詩ですが、その花魁について少し書いてみたいと思います。

  階層がある廓の世界の中で唄、踊り、茶の湯等をみっちり仕込まれ教養も必要とされた『花魁』

  花魁という名称は、それ以前にあった最高級の位『太夫』がなくなったあとに使われだしたようで、その花魁の中でも階層があったと言われています。売れっ子になって、店の売り上げに貢献するほどに地位があがるのが必然で、人気を集めるために工夫を凝らすのも、花魁の常であったようです。
  例えば『勝山』というトップスターの花魁は、歩き方で人々を魅了しました。
  花魁道中は、最高の見せ場。そこで少しでも見る人を喜ばせようと、腰を落として外八文字という歩き方を考案したのがこの勝山です。足を大きく外側に踏み出して、八の字に置くという歩き方ですが、衣装は重くしかも高下駄ですから、かなりの筋力が必要だったようです。

  花魁といえば思い出されるのがきらびやかな衣装。あの衣装は廓世界の花嫁衣裳でした。ひと夜限りの嫁入り、そんな意味合いがあります。
『芸を売っても身は売らぬ』の芸者さんは、引きずる着物を左手で持つのが流儀ですが、花魁は現代の花嫁さん同様、着物は右手に持っていました。それは、『嫁入り』だからです。今夜の嫁入り、そして明日はまた別の嫁入りと、夜毎繰り返される嫁入りを象徴するのが、あの前結びの帯でした。

  廓で着る衣装、身に着ける小物はすべて自腹です。花魁に限らず、廓の女はみなそれを店から借金してまかなっていました。そもそもお金のために身売りをして、その借金を返すために遊女として働く。けれども衣装のために更に借金を重ねる。身請けでもしてもらわない限り、年期があける前に廓の外に出ることはまず無理だったことでしょう。

  下級遊女になればなるほど、病気持ちになる危険と隣り合わせです。妊娠すれば大抵は堕胎でした。そしてこんな現象も珍しいことでは無かったようです。

『年期があけた遊女は、その廓を出て別の廓に行く』

  うまく結婚できれば幸いですが、選択肢の少なかった時代、他に生きていく術を持てなかった女性が、更に身を落としていく。それは位の高い花魁であっても、また同じことだったのです。

  艶やかな衣装に身を包んだ花魁。苦界の影を残さずに生涯を終えることができた人は、ほとんどいなかったと言われています。

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