目を塞ぎ耳を塞ぎ
押入れの中で
すり切れた縫いぐるみと遊んでいる小さなおんなの子
もうそろそろ出てきましょうよ
お母さん
こんなにも無理のない
穏やかな空を
いつか一度は見てみたかった
あなたの娘と
あなたの娘の娘の頭に置いた手が
何度も何度も滑り降りて
ごめんね
本当に必要なのはその言葉じゃないとわかっていても
小さくなったあなたの背中は
いずれわたしも辿る道
お母さん
こんなにも無理のない
穏やかな空を
いつか一度は見てみたかった
いつか一緒に見てみたかった
すり切れた縫いぐるみをだっこした
小さなおんなの子にかける
わたしの言葉もたったひとつしか見つからない
「ごめんね」
#詩