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ゲーム

あるアパートの一室。
そこは高校で同じクラスの友達、彩の姉の部屋。旅行に出ている間、鍵を預かった妹の彩が姉に内緒でわたし達を呼び込んだ。彩にどんな意図があったのか、わたしにはわからなかった。

わたし以外にこの空間にいるのは、彩の彼氏、亮太とその友達の大樹だった。
わたしが男ふたりをどう思っていたにせよ、何となく喋って何となく笑って、ただそれだけだと思っていた。平凡な時間。

暫くすると彩は窓を開けに立ち上がり、1分程そのままわたし達に背中を向けた。
1分というのは、案外長いものだ。彩の後ろ姿を大樹がじっと見つめる。その後ろから彼氏の亮太が、ふたりをじっと見つめていた。

考えてみれば、そこには居ない女の部屋を占領していることが、不穏なものを目立たせていたのだろうが、いい加減ぬるくなったコーラを飲みながら、その時わたしが見ていた、それが面白くない瞬間の光景だった。

視線、感じてた? 彩……

男達と別れた後、わたしは見たままを話し、そして彩に言った。

「なんだかんだであのふたりはマブダチだよ。やめた方がいい…… 亮太に傷つけられて彩、めちゃくちゃになっちゃうよ。前から思ってたけど、ロクな奴じゃない」

彩は、やっぱりそうなんだね。でもわたし無理っぽい、亮太のこと好きだから……と、顔を歪めた。

馬鹿だ、彩は。それでもいいならどうしょうもないけど。


最初からゲームを仕掛けていたのは亮太。
わたしはあの時見逃さなかった。
ふたりを見つめる亮太が首を落として一瞬、笑っていたことを……


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17、8の頃って、今考えても浅はか過ぎるな〜って汗出そう💦


#ショートショート #大筋でじつはじつわ

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