【最新】武田薬品の環境意識で新たな価値創造へ!企業とデザイナーの価値観が問われる特色印刷の本当の価値とは?
特色印刷ばかり多用することは悪なのか?
最近は、特色印刷を廃止する企業=環境配慮優良企業となり、これがトレンドになっています。なぜ特色印刷をやめてCMYKにすることが価値を産むのか?を解説していきたいと思います。
特色ってなに?
普通の印刷はプロセスカラー(CMYK)を使って行われます。しかし、CMYK印刷では表現できない色、苦手な色を使う場合には、色を番号で指定し、その色を事前に配合したインク(特色)を使用して印刷します。この方法では、異なる印刷機での色の差異は起こりません。
武田薬品特色廃止へ(2024年1月 日本経済新聞)
要約すると、当社製品の二次包装印刷は、環境負荷低減を目指し、CMYKインクへの切り替えを実施。印刷機の洗浄に使用する溶剤の使用量と廃棄量の削減にも取り組んでおり、この取り組みにより、特色インクからCMYKインクへの切り替えによるインクの種類・量の低減や印刷機の洗浄不要化による環境負荷の削減が期待できます。タケダは環境負荷低減に積極的に取り組む企業であり、地球環境の負荷を低減しながら高品質な医薬品を提供し続けます。という内容です。非常に素晴らしい取り組みだと思います!
自転車メーカーSHIMANOの取り組み
SHIMANOも紙はもちろんですが、インク使用量を大幅に削減したデザインというところを焦点に置いてブランディングを行っています。こちらも非常にシンプルでブランドを損なわずに環境配慮を行っている良い事例だと感じました。
特色を多用する企業やデザインはもはや時代遅れ
そもそも論ではあるのですが、昔は特色は高級品で手間もかかるため、あまり使われていませんでした。一般的な印刷会社では「4色印刷機」が主流のため、特色を入れることができません。特色インクを使うには、通常使っているCMYKインクを取り出して、印刷機の洗浄を行い、特色インクに切り替えを行い、印刷終了後に再び印刷機を洗浄し、通常のCMYKインクに戻さなければなりません。これには手間と時間とコストが必要以上にかかるため、CMYKで表現が不可能な美術品や高級品の印刷にしか使われませんでした。
近年5色機や6色機などを所有している会社もあるので、「差別化」や「なんとなくカッコいい」という理由で多くの人が不要に特色を乱用し、「特色の価値」や「コストと労力」を理解せずに特色を必要としない印刷物で使用する発注者やデザイナーが増えています。最近では特色12色を印刷してほしいという依頼もありましたが、どうみてもCMYKで完結するものでした。
その中で、武田薬品の特色を使用しない環境配慮での新しい価値の創造は本当に素晴らしいと思います。バックヤードでなかなか見えませんがかなりの環境負荷低減につながる取り組みです。
特色インクの使用量や印刷機の洗浄不要化による環境負荷の削減が注目されています。武田薬品のような環境配慮に基づく取り組みは、今後の企業活動に大きな影響を与えるでしょう。ぜひ、自社の印刷物もこれを機会に見直し、環境負荷を軽減しながらも魅力的なデザインを追求してみてください。この記事を通じて、特色印刷の新たな価値に気付いていただけたら幸いです。
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