科学館レビュー1:日本科学未来館
◆ポイント◆
サイエンスよりテクノロジーやアートを重視した科学館
外国の方や障害のある方など、多様な来館者に向けての対応が充実
最先端の科学を感じられる
2023年10月某日
特別展・企画展は開催しておらず、また11月に常設展示の大規模リニューアルを控えており、展示スペースは6割ほど。行ったタイミングが悪かったかもしれません…。
内容
STEAM[Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Arts(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)]で言うところの、「T」と「A」に特化した科学館と感じました。
物理や化学などの原理や法則について知るというよりは、それらを応用した結果、どのように社会の役に立っているか、また今後どう活用していくかにフォーカスされているように思います。
技術の高度な応用が多いこともあって、ちゃんと理解するためにはハードルが高くなってしまい、その結果「なんかすごい」で終わっている展示もあるのが少しもったいなく感じました。
展示内容にアート色が強い側面も「なんかきれい」「なんか面白そうな雰囲気」で終わってしまっている気がして、理解する喜びよりは、漠然と科学に触れる・空間を味わうといった楽しみ方になっているように思います。
独自性★★★★☆
なんといっても目を引くのは、入ってすぐの空間に浮かぶ巨大地球儀ジオ・コスモス。洗練された科学館の雰囲気を実感できます。
全体的な傾向として、プロジェクションマッピングを用いた展示が多い印象。
また、自分で押したり回したり触ったり、インタラクティブな要素も多く、内容がよくわからないような小さい子供でも楽しめる要素もありました。
地域性★☆☆☆☆
お台場に立地している理由や、その地域の紹介などは残念ながら見つけられませんでした。(気付かなかっただけで、もし何かあったらごめんなさい!)
しいて言えば、見せ方やデザインへの強いこだわりが感じられ、お台場っぽい洗練されたおしゃれな雰囲気、メディア向けっぽい感じが館内全体に漂っています。
現物展示★★★★☆
模型やレプリカも多いですが、地球深部探査船「ちきゅう」の掘削用コアビットなど、本物(実物)の展示もいくつかありました。
また、来館したノーベル賞受賞者や宇宙飛行士の直筆サインが多数展示してあります。
最先端★★★★★
訪れたときは、「Mirai can Now」という企画で、生成AIの特集をしていました。個人的には、この日観て回った中で一番面白い内容でした!
そのほかにもノーベル賞の時期にはその解説を行ったり、そもそも施設内に研究エリアがあって最先端の研究が行われているなど、常に内容がアップデートされている印象です。
対象・客層
文系でも楽しめるか★★☆☆☆
雰囲気だけでもよければ、文系でも楽しめると思います。
理系でも楽しめるか★★★☆☆
宇宙や情報やロボットといった、特定の分野や技術の応用に関しては奥深い展示が多数あります。一方で純粋に「科学」に興味がある場合には、ちょっと物足りなく感じてしまうかもしれません。
大人も楽しめるか★★★★☆
デートや家族連れにはぴったりかもしれません。展示の内容が気になった際には、解説をよく読むことで、さらに深い理解にたどり着くことができそうです。
子供も楽しめるか★★★☆☆
小学生以下は、興味を持てないとちょっと退屈してしまうかもしれません。館内に多くいる科学コミュニケーターさんを捕まえて、直接お話を聞いてみるといいかも。
イベント・設備
サイエンスショー・実験教室★★★☆☆
ちょうど私が行った10月末は「化学週間」で、科学コミュニケータートーク「だから化学はおもしろい!」を聞くことができました!
化学専門の科学コミュニケーターさんがフリートークをされていて、宝石の主成分などをすぐに言えるのはさすが!と思いました。
説明も上手で、例えばニホニウムの合成について、置いてある模型の大きさだと、1kmぐらいのバリアの外から時速1億kmでぶつける必要がある。など、かみ砕いた解説はお見事でした。
マイクで話した内容が、リアルタイムで字幕化されて映し出されるのも、参加者に優しいうえ、最先端テクノロジーを感じられて素晴らしかったです。
欲を言えば、せっかくの双方向対話なので、もっと解説員さんのすごさや個性をアピールしてもいいのでは?と思ったり…。1~100までの好きな数字を言ってもらえればその元素を即答します!とか。(私は即答できませんが…(x_x;))
プラネタリウム★★☆☆☆
ドームシアターという設備が6階にあり、3Dの立体映像プログラムも上映されています。あくまで映像作品の上映がメインで、あまりプラネタリウムは推していないように感じました。
ただ、奥行きを感じにくいドーム状スクリーンと、3D映像の投影は非常に相性がよく、美しい立体映像を感じることができました。
お土産コーナー★★★☆☆
ミュージアムショップが1階ロビーにあります。
…が、ここもリニューアル直前だったので、一部商品は売り尽くしセール中でした。
リニューアル後は、AI無人決済システムの導入やデジタルヒューマンによる商品紹介など、新たな購買体験ができるようになるとのことで、今後に期待です。
その他カフェなど★★★☆☆
最上階に展望ラウンジがあり、レストランが併設されています。お台場を一望しながら、カレーやハンバーグなどのメニューを楽しむことができます。訪れた際には植物性の「代替肉」メニューも提供していました。
基本情報
広さ★★★★☆
企画展示ゾーンやホールを含めると、10,000㎡近い床面積があり、野球のグラウンドと同じぐらいの広さがあります。
交通の便★★★★☆
最寄り駅からは徒歩5分程度。科学館前に停まる路線バスもあるほか、駐車場や駐輪場も完備。
所要時間★★★★☆
しっかり見て回ると、館内が広いこともあって、半日以上かかりそうです。
東京の科学館と言えば、まずここが挙げられるような気もするので、行ったことがない人はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?!
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