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科学館レビュー7:多摩六都科学館

◆ポイント◆

  • 自然科学をまんべんなく扱っている、The総合科学館。

  • 世界最大級のプラネタリウムは過去にギネスにも認定!

  • ボランティア制度も活用した充実のスタッフ数。


2024年のゴールデンウイークに訪問@東京都北多摩北部エリア


内容

 科学館の名前となっている「多摩六都」とは、多摩地域北部の小平・東村山・田無・保谷・清瀬・東久留米の6市のことです。このうち田無市と保谷市は2001年に合併して西東京市(科学館の所在地もここ)となり現在は5市ですが、科学館の名前は当時のまま残っています。

屋外スペースにはオープンプラネタリウム(ピンホールがたくさんあいた球の中に入ると星空が見える)や、遠く離れていても会話ができるパラボラ、精密日時計や進化のトンネルなどがありました。

 1994年3月開館なので、訪問時はちょうど30周年。展示物や広報誌の変遷について特別展示が行われていました。

30周年ヒストリーの特別展示で新旧のキャラクターがお出迎え

独自性★★★☆☆

 常設展示室は「チャレンジの部屋」「からだの部屋」「しくみの部屋」「自然の部屋」「地球の部屋」の5つの部屋に分かれています。

 トンネルをくぐると最初はチャレンジの部屋です。物理や化学、そして宇宙に関連した体験型展示が盛りだくさん!

太陽系のそれぞれの星の上で、1kgの重さをどのくらいに感じるか。直感的にわかりやすい!

 ムーンウォーカーでは月の重力を体感することができます。

月の重力を体感できる大人気コーナー。訪問時は整理券制でした。

 チャレンジの部屋以降の各部屋には「ラボ」という体験コーナーが設けられており、さまざまな観察・実験・工作が楽しめるようになっています。

充実のスタッフ!100名規模のボランティア会が組織されているそうです。

 展示室1:チャレンジの部屋、展示室2:からだの部屋、展示室3:しくみの部屋、はすべて同じフロアにあるのですが、全体的に体感型の展示が多く、子供が興味を持てるように様々な工夫がされていると感じました。

「からだの部屋」の香り当てクイズや「しくみの部屋」の発電の仕組み

地域性★★★☆☆

 階段を上がると、展示室4:自然の部屋、展示室5:地球の部屋、と続きます。上の階の展示は、少し対象年齢層も上がる印象です。
 下の階とは対照的に、展示物とその解説、といったコーナーが多く、学習要素が強めに感じました。

科学館周辺の地域で見られる生物の剝製や模型

 特に、科学館周辺の自然環境や生き物、地形に関する展示が充実しており、科学館を出た後も日常の中に科学を探せるような動機づけが散りばめられていました。

科学館周辺の川や石、地形について

現物展示★★☆☆☆

 実物元素周期表があったり、動物のはく製や化石標本など、そのトピックスに関した実物はいくつか展示がありました。が、基本的には科学の概念を学んだり実感することがメインで、博物館要素(この科学館でしか見れないような実物の展示)へのこだわりは薄いと感じました。(それが悪いこととは言っていません。念のため。)

実物元素周期表

最先端★★☆☆☆

 ノーベル賞の新聞記事が掲示されていたり、いくつか展示物の更新も行われているようですが、基本的には基礎的な科学に触れることに主眼が置かれているようです。


対象・客層

あくまで個人の主観です。

文系でも楽しめるか★★☆☆☆

 どの展示室も「王道の科学」を扱っているので、理系分野に全く興味がない人だと少し厳しいかもしれません。。。

理系でも楽しめるか★★★★☆

 科学に関する多くの分野を広く扱っているので、ざっくりとは楽しめそうです。ただ、専門知識のある人にとっては少し物足りないと感じるかも…?

大人も楽しめるか★★★☆☆

 扱っている対象が広いため、これまで知らなかった内容もあるかもしれません。特に上の階は解説内容も充実していて、見ごたえがあります。

子供も楽しめるか★★★★☆

 理科好きな小中学生がメイン層なのかなと感じました。ゲームやクイズラリーなどの企画も充実しています。カプラ広場など、小さい子供でも楽しめるようなコーナーもいくつかあります。

カプラ広場も大人気。

イベント・設備

サイエンスショー・実験教室★★★★☆

 実験・工作・観察・天体観望など、いろんなイベントが企画されています。高校生以上相当を対象とした「大人の学びなおし」という回も開催されているようです。

実験ショーコーナー。学校の理科室みたいな雰囲気。

プラネタリウム★★★★★

 「サイエンスエッグ」という傾斜型のプラネタリウムは大きさも投映機もトップクラス。全編生解説のプラネタリウムを視聴しましたが、お姉さんの語り口が素晴らしく、プロを感じました!

投影機の前には、はやぶさ2のミッションマネージャーの吉川さんのサイン

お土産コーナー★★★★☆

 ミュージアムショップも充実の内容。気になるグッズがたくさんあって、思わず何点か衝動買いしちゃいました。

科学館オリジナルグッズも多数販売。

その他カフェなど★★★★☆

 「ロクトショクドウ」というカフェがオープンしたばかりのようでした。カレーやパスタなど、プレートランチが楽しめます。休憩がてらスムージーをいただきましたが、さっぱり美味しかったです!


基本情報

広さ★★★★☆

 建物の延べ床面積:約6500㎡はサッカーコートぐらいの大きさ。すみずみまで見て回ると、かなり歩くことになります。

交通の便★★★☆☆

 最寄駅からは少し距離があり、歩くと20分ぐらいかかります。科学館の隣にスカイタワー西東京という高さ200m近い電波塔が立っているので、それを目印にしつつ看板をたどると、徒歩でも迷わずに着けると思います。周辺の駅からはバスも出ています。

駅からの道には看板がたくさん出ているので道に迷うことは少なそう。

所要時間★★★★☆

 体験型の展示が多いため、一通りちゃんと見て回ろうとすると、半日程度はかかりそうです。


 これぞ王道の科学館、といった内容で、多くの分野をまんべんなく扱っています。一方で対象が幅広い分、広く浅くなってしまっている雰囲気も否定できないので、もう少し発展的な内容につなげられるような展示も増えるといいのかなと感じました。
 全体的に体験型の展示が多いことも特徴で、科学に興味を持てるような仕掛けが随所に見られました。ゴールデンウイークに訪問したからかもしれませんが、スタッフの人数が充実していたことも素晴らしいと感じました!

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