見出し画像

BOOK: 内村鑑三『余は如何にしてキリスト信徒となりしか』


16歳、英学校から札幌農学校へ
最初は好奇心で行ってみた
外国人居留地の滑稽な主日礼拝の見学だった

農学校では周囲から
キリスト教徒になるよう執拗に勧められ
半ば強制で信仰の署名にサインする

祖国に貢献せんと志をもって
寮生活をしている鑑三
キリスト教に入信したことを恥辱と感じる

日本では多くの神々に様々な決まりがあり
豊作の神、健康の神、災害から守る神…
幼い頃は道の四方に神様の社があって
頭を下げて歩くのが大変で
少ない道を通るまでしていたというから、当時は今よりずっと多かったのだろう

しかし徐々に
唯一の神様を信じることで解放され
心の自由を感じるようになっていた

寮生活で7人の仲間と
毎週の礼拝をして順番に講義したり
お祈り会をしたり
茶会や讃美会をしたり
農業や事業を学びながら戯れる姿は
16歳の若者達らしい

各国の文学、聖書の解釈書
原著に触れ深い造詣と教養がみられる

そこには天が求めた
純粋で高貴な心で育っていく
信仰の本来の姿があるようだ

教会を建てようと献金を捧げ集め奔走し
教会の分派に真実でない姿を見出し
テサロニケ教会で起きたいざこざを治める
使徒パウロの手紙さながら
信仰で天との対話しもがき成長していく

卒業し官職につく
頑固で教養深い父に
漢詩で書かれたパウロ伝を渡し
根気強く信仰者へ導いた

社会の光たらんと過ごす中
教会でも恋愛の自由が生まれ交流する姿
それを小難しく表現しているのも
可愛らしくさえある

しかし結婚するもすぐ離婚となり
空虚を感じ苦しい時を過ごす中
キリスト教国アメリカへ渡ろうと
資金をため希望もち降り立つ
24歳

しかしそこは拝金主義、詐欺、差別
中国人労働者への排斥、
モンゴル系民族への酷い蔑み、
神の言葉を野蛮に使う姿を見る

憤りを露わにし
ユダヤの民がギデオンを仕えさせた
その例を持って強く論破する

そして以前信仰を持ってから野蛮と評した
勤勉に働き穏やかに死んだ祖母へ
自分の思慮が浅かったと悔い改め

キリスト教の教えが実践されていない
キリスト教国に対する失望を隠せない

ああ、アメリカその頃からそうだったのか
移民問題と不満は今も変わらない‥
アメリカでの3年半
最大の光が 最大の闇と共存している国
躁鬱に悩まされながら
心ある牧師や学長の導きや支援で
精神病院での奉仕や大学での学び
キリスト教集会への参加
そこでの信仰の講演‥最もこれを見世物小屋のように感じ批判しているのだが
孤独や疑念の中で祈りを深くし
徐々に精神も落着き大人になっていく
施しを受ける仕事を好まなかったが気持ちが変わり神学校へ学びに入る、しかしそこでは既に異邦に必要な学びは少なく、聖書や本により意味を見出し、帰国を決意する

参考になった言葉がある
キリスト教国の人たちは
 野蛮な異邦人への伝道のために支援を惜しまない
彼らは憐れみ導く対象として見ている
しかし 内村は
異邦の文化や人格の中にも
キリスト、神の姿があると本質を見る
伝道者は共に生活し愛の心で
キリストを述べ伝える
それが本物の姿であると
中国に述べ伝えた 宣教師は
本国からは見捨てられても
その地で骨を埋めた そのように

1866年帰国、夜中に着いた祖国で
会う父母は探し求めていた
清く勤勉で威厳ある人の姿だった

母は、海外の見聞録を聞くよりも何よりも
ただただ戻ってきたことを喜び
会えたことを喜んで愛で迎えたのだ