掃除機をかけながら

 ハンディークリーナーの電池を換えた。

 いくら充電しても途中で力尽きてしまうようになり、もう壊れたか…と思っていた。電池を換えたら、まず音が違う。勢いも最後まで落ちない。良かった、捨てなくて。

 ここでふと思う。人間もこんな感じで、電池を換えられたらいいのになあと。人より体力のない私はすぐに疲れる。見に行きたかったバスケの試合も、仕事の疲れが溜まったのか、行ける気がしなくて諦めてしまった。

 電池を換えればすぐ元気になって、動いている間に代わりの電池を充電して。そうすれば、ずっと元気に動いていられるではないか。

 いや、ちょっと待て。いつでも元気に動けるようになったら、仕事量も増やされてしまうのではないか。何なら、「この頃、電池を換えても元気になれなくて…」なんていう悩みも追加されてしまうかもしれない。

 今日も掃除機をかけながら、存在しない人間用バッテリーに思いを馳せてしまうのであった。

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