見出し画像

一人暮らしをして得た、大切なもの。

来週この住居を離れるにあたり、3年以上のここでの日々を振り返る。
そもそも一人暮らしは必須ではなかった。
でも父親に相談したら「そういうことも必要だ」って、
母はずっと心配してたけど、すぐに帰れる距離なのに、離れた。
仕送りはなし。頑張って生きてみる練習と思って始めた。

新宿の一等地なのに52000円という破格の家賃だった。
大学まで3分だった。
4路線使えてどこへでも行けた。
内装工事直後でめっちゃきれいだった。
隣に油そば屋があった。
3階だから日当たり良かった。
天井高かった。
6畳以上あった。
エアコンの風が、僕の好きな香りだった。

たくさんのコミュニティの人が来てくれた。
部屋に彼女を呼んだ。
友達とルームシェアなんて青春した。
いろんな人の相談に乗った。
体調が悪いときは、孤独感を味わった。
洗濯も掃除も自炊がそれなりにできるようになった。
酒もタバコも覚えた。
お金に困ったこともあった。
東京が嫌になることもあった。
でもここには居場所があった。

別に思い残すことはない。
これからも大学に通うから。
ただちょっと寂しい。
自分だけの秘密基地だった。
夢を詰め込んだ自分だけの空間だ。
来てくれたみんなが言ってくれた。
「まるで片付けてない部屋みたいな居心地の良い部屋」だって。
褒めてんの?貶してんの?って。

必死こいて組み立てたロフトベッドも今日解体した。
来たばかりのときの、あの寂しさが戻ってきた。
僕は、寂しくなると、いろんな物を自分の空間に詰め込む。
それで、満たされたような感覚になって、落ち着くのだ。
それはなにも部屋のことだけではないみたいだ。
時間も、人間関係も、知識も、行動も。
欲深くて、満たされなくて、しかし飽きやすくて。
それが矛盾しないように、いつも気を配っていた。

僕はここに住んで、よかった。
僕は、自分で自分を受け入れることを、待つことができるようになった。
こういうのが僕だということを、受け入れること。
そして新しい僕がまだまだ先にいるということを、受け入れること。
そうしたら、他人を待てるようにもなった。
うまくいかない事ばかりだけど、これからも何があるわけじゃないけど。
僕にとって、待てるようになることは、何円払ってでも欲しいものだった。

修士を出てからどうするか、じっくり実家で話して決めるつもりだ。
いまのところは、このまま進学するのだけど。
島に行くのか、山に行くのか、ここにいるのか。
先生になるのか、ほかの何かになるのか。
最後の一週間は、あっという間に過ぎるだろうから。
家族のところへ戻るまえの残りの日々、自分の言葉を増やしていこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?