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ウンチするみたいに出産する、女系

去年の今日は、初めて娘が出産した日だ。
予定日を過ぎても産まれないからと前日に入院し、朝から陣痛促進剤の点滴を始めると聞いて、私は甥っ子に教えられたテニスボールを持って、昼前に付き添いに行った。娘婿こそ休みたかっただろうに、会議で東京へ日帰りだった。
まだ新型コロナはなかったけれども、陣痛室への出入りは厳しく監視されていて、売店や洗濯室へ出るのは面倒だった。

あんまり盛り上がらないまま夕方になって、続きは「明日にしましょう」と点滴を抜かれると、慌てたように陣痛が本気を出した。
やがて「オシッコ、、」というので、助産師さんを呼んだら破水だった。
それからは「帝王切開になります」と説明があって、同意書に何枚もサインしているうち、娘はストレッチャーで地下の外科手術室へ運ばれていった。
「ここにいてください」と言われたベンチに腰かけて、家族にLINEを打ち始めると、主治医の女医さんが戻ってきて、「廊下で産まれました、経腟です」と教えてくれた。

あとで聞いたところによると、エレベーターで「ウンチ、、」と言ったので、手術室の扉の前で分娩に切り替えられたのだそうだ。
分娩装具がないストレッチャーの上で、手際よく産ませてくれた助産師さんたちは本当にプロフェッショナルだったと、娘は絶賛していた。
「出産直後の感想」というのを取材されて、「私も早く職場に戻って、みなさんのように活躍したいです」と答えたのだそうだ。

「お産は、大きめのウンチをするようなものだ」と祖母や母から聞かされていた言い伝えを、私も娘たちに伝えてきたが、そればかりでよかったのかどうか。
「命がけのお産だってあるのよ、産婦を見くびっちゃだめよ」と改めて言い足した。

宮参りの翌日から始まった新型コロナ騒ぎがなかなか治まらない中、大好きな保育園で初誕生会をやってもらえたという孫むすめの動画に思う。

わが女系へようこそ。幸せに育ってねーー。

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