レッテルぺたぺた
高校生の頃までは、それはもうずっと気持ちが殺伐としていた。その気持ちを反映するように部屋は汚いベッドは授業プリントだらけ宿題は提出期限に間に合った試しがない、みたいな生活を送っていた。
もちろん、部活でも上手くいかなかった。
私はとにかく我が強くて、でも自分に自信が無いタイプの人間だった。根暗で誰に相談することも無く(家族との会話も避けるようになっていた)、頭の中でぐるぐる思考して結論出なくてもう駄目だーとなっていた。
部活の同期とは喧嘩ばっかりだったし、ハブられてたし、悔しくて泣いてた。
それとは一変して、大学生になったらなんかすごく優しいと言われるようになった。
最初は、ただ本音が言えないだけだった。心の奥底ではこいつ何様のつもりだ、とか平気で思ってた。
優しいね、いつも許してくれる、怒ったところ見たことない等のレッテルが貼られるようになった。
このレッテルは、私を変える力を持っていた。私は、だんだん本当に怒らなくなっていった。受け流す、ということを覚えてきたらしい。
あれだけ喧嘩の種をばら撒く天才だった私が、今やMBTI仲介者の名を手に入れた(最近は主人公のこともある)。
私の経験で分かったのは、人は期待されるとその通りに動きたくなる、ということ。
優しくして欲しいならその人に「○○は優しいね」と声を掛けなさい、とはよく言うものだ。本当にその通りだ。
私は世間の戦略に乗せられてひどく優しくなってしまったらしい。ただし、優しいとは人間によって定義が異なるので優しいことが人間として優れているとは言っていない。私は世間に流されて世間の扱いやすい人間になったというだけ。
「良い人ってつまりどうでもいい人」なんて言葉が頭に浮かんだ。