アリス・ワールド!の解説 part1

アリス・ワールド! ― 超絶脱衣麻雀 外伝 ―

短編小説 全3話構成 文字数 約26600

完結したので、牌譜や設定について語ります。

※ネタバレを含みます。

【第1話 A world】

本編と同じ舞台の雀栄町じゃんえいちょうのどこかにある商店街から始まる。

おそらく朱雀荘すざくそうから遠い場所のため、郊外近くなのかも?(理由は四神スーシンが怖いから)

珍しく雀奇団ジャンキーズ視点から物語が始まる。素人相手に麻雀で土地を巻き上げるという、アコギな商売をしていた。

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 雀奇物産。
 一人の男が、事務仕事をしていた。

「今月も超絶黒字! タダ同然の土地を、割高販売してボロ儲けオリよー!」

 オリ男は金欲の雀奇面ジャンキーフェイスを見せる。
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悪徳不動産も真っ青の極悪非道ぶり。
最所にオシ男とオリ男の凶悪さを描いたのは、アリスたちの犠牲となった折、悪人だからヘイトが発生しないため。

オシ男たちのどうでもいい小競り合いを終え、すぐに本編に入ります。

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 すぐさま異変を察知した。
 見慣れた店の扉。その先には見慣れない、光景が広がっていた。
 広大な土地だ。
 それと様々な建物。きらびやかな装飾。賑やかな音楽。
 一言で表すと、遊園地だった。

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特に記載はないので、アリス・ランドと命名します。

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「ようこそ。お客人」

 正面に少女がいた。
 スイートな顔立ち。シルバーホワイトのロングウェーブ。赤と青のオッドアイ。黒いヘアリボン。エプロンドレスを着ていた。

「私は支配人のアリスと申します。ただいま当園は無料です。どうぞ心ゆくまで、楽しんでください」

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本作の主人公が登場。モチーフは『不思議の国のアリス』ですが、その要素はゼロに近い。

本作の主題である『アリス麻雀』に因んでつけただけ。ちなみにアリス麻雀にアリスは全く関係ありません。
アリス麻雀の語源は『ありんす』で、「あります」「~です」のようです。

オシ男とオリ男は、この待遇を怪しみながら全力で遊園地を楽しみます。

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 翌朝。

「当園は本日も無料です。楽しんでいってください」

「また今度、遊びにくるオシよ。一旦帰りたいんだが、出口はどこオシか?」

「ございません」

「なに……?」

「お前たちは出られない。もう二度と」

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恒例の何かと理由をつけては、爆速で対局するパターン。

東一局は基本的に配牌から、牌効率を重視した手作りを見せるようにしています。麻雀というゲームの基本動作です。

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オシ男 手牌

[23m 3467p 1255678s][ツモ牌 6p]

 打、2s。
 メンツオーバー。辺張ペンチャン3s受けの12sが不要となる。

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麻雀に慣れている方にとっては当たり前の打牌でも、開局だけは丁寧に描くようにしています。

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 1sよりも危険な、2sから先打つ。

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この一文だけは何度書いたか、覚えていない。麻雀の基礎です。

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オシ男 手牌

[123m 34667p 55678s][ツモ牌 6p]

「リーチ!」

 打、7p。

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完全一向聴イーシャンテンからの聴牌テンパイ。今局はあっさりとオシ男がツモアガリする。

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東一局 一本場

オシ男 手牌
[567m 99p 57799s][中↑中中][ツモ牌 9p]

 打、7s。

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ここでオシ男は7s、9sシャボではなく、6s待ちを選択します。
理由はドラ9sが打たれにくいため。さらに57sの形には4s引きから両面変化があるとの主張。

麻雀の大鉄則らしいですが、別にシャボでもいいと思います。

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東一局 二本場 ドラ4p

オシ男 手牌
[34789m 44p 234s][←白白白]

アリス 手牌
[手牌×10][←324s] 

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親の白仕掛け5800点と、断么九タンヤオ仕掛けで打点不明の勝負。
ここでオシ男は名前通りの押し選択。結果はアリスの3ハン3900点に刺さってしまう。

個人的にも押したほうがいいと思います。
打点があり、一鳴きでは相手が張っているかもわからないためです。

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東二局 ドラ發
北家 オシ男 40600
東家 団員A 18300
南家 Alice 22800-17800
西家 団員B 18300

オシ男 手牌
[67p 234789s 西西][發↑發發][5-8p待ち]

団員A
[手牌×13][リーチ宣言]

アリス
[手牌×7枚][南南南→][←123p]

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三人での戦いですが、アリスが低打点とみてオシ男たちが押しまくります。

結果はアリスが捲りを制す。
オシ男は「運の良い野郎」と言ってますが、運はともかくとして「こちらのが押し引きが上手い」との主張にもとれる。

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東三局 ドラ5s
西家 オシ男 40300
北家 団員A 16800
東家 Alice 24900-15400
南家 団員B 18000

アリス
[手牌×13][リーチ宣言]

オシ男 手牌
[122m 22345p 34567s]

 アリスのツモ。
 打、2m。

「ポン!」

[1m 22345p 345・67s][2↑22m]

 打、1m。

 1mはアリスへの無筋。しかしポンにより2mは3枚見えている。1mはワンチャンス。
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アリスの先制リーチ 対 仕掛けで追い掛けるオシ男の構図。

ワンチャンスというのは最大4枚の2mが3枚見えているとき、他は2mを残り1枚しか使えない状態です。
ここでアリスが23mで塔子ターツを作り待ちにしている確率は、通常低いんだという理論です。

実際の麻雀でも序盤はかなり当たりにくいです。ただし捨て牌三段目辺りでは、信頼度が相当落ちます。

押し合いを制したのは、またアリス。ここで面前アガリをしたので雀技スキルの条件を満たしています。
ですがアリスは後の一撃に備え、わざと発動させずに過ごします。

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東三局 一本場 ドラ1m
西家 オシ男 36300
北家 団員A 12800
東家 Alice 36900+600
南家 団員B 14000

アリス 手牌
[手牌×13][リーチ宣言]

オシ男 手牌
[11224678m 345p 23s]

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再びアリスが先制し、オシ男が追い掛ける展開。
オシ男としては、これ以上の親連荘レンチャンは避けたいところ。

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オシ男 手牌

[11224678m 345p 23s][ツモ牌 1s]

「リーチ!」

 打、4m。

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東一局の一本場では似たような形57799sからの5s切りでした。今回の場合は何より追っ掛けリーチ優先のために1m、2mシャボ待ちで勝負に出ています。

この思いきりの良さが功を奏し、ドラ1mをツモり逆転の満貫マンガン手に仕上げる。

オーラス――

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東四局 ドラ西
南家 オシ男 45600
西家 団員A 10700
北家 Alice 31800-13800
東家 団員B 11900

オシ男 手牌
[678m 78s 南南][東東東→][←111p][6-9s待ち]

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オシ男の先制テンパイ。
アリスの逆転条件は跳満ハネマンツモか満貫マンガン直撃。

二副露ツーフーロするほどの点差ではないが、アリスの大物手を警戒してのこと。

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「リーチ」

 アリスからの先制リーチ。
 追いつかれた。

[678m 78s 南南][東東東→][←111p][ツモ牌 6p]

 無筋の危険牌。
 直撃さえしなければ、相手は跳満ツモと厳しい条件だ。ここで押すのは、得策ではない。
 しかし止めない。止めるわけがない。
 なぜならば、

「オレがぁっ! オシ男だからだぁあああっ!」

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意味のわからない理屈で押し通します。
これが通りオシ男の優勢かと思いきや、アリスが先にアガリます。

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アリス 手牌
[5・5m 34567p 5・55789s][ツモ牌 5p]

 リーチ、ツモ、ドラ2。30符4翻ハンは2000、3900点。

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満貫ツモでは

オシ男 45600-2000=43600

Alice 31800+7900=39700

と逆転には至らない。
これでアガったらアリスの負けとなる。

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雀技スキル! アリス・ワールド!」

「な、なにぃいいいっ! 雀技だとぉおおおっ!?」

「私のアガリに、アリス麻雀ルールを加える」

 アリス麻雀とは、アガリ後に手牌と同じ牌が出なくなるまで牌山を捲る。
 手牌と一致した枚数に応じ、

「1牌につき1000点を得る」

 3p、4p、6p、7pと続け様に引き、4000点の加算となる。

先ほどの得点に、

オシ男 43600

Alice 39700+4000=43700

アリスの逆転勝利となった。

part2に続く

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