アリス・ワールド!の解説 part3 (完)
アリス・ワールド! ― 超絶脱衣麻雀 外伝 ―
【第3話 D world】
※ネタバレ注意
ついに全貌を現したアリス・セリアに、オシ男とオリ男が雀奇合体で立ち向かう。
雀奇合体を語るのは最後となりますので、今一度だけ解説しておきます。
初回は2章8話
雀奇団大幹部ドク男(故)によって開発された合体技。2人の雀士を1人にしてパワーアップする超絶ファンタジー奥義です。
ドラゴンボールのフュージョンだと思えば大体合ってます。
合体は雀風によっても相性がありますが、基本的に二人分の経験値が加わえ雀運も上昇するため、強大な雀力を有するようになります。
今回はオシ男とオリ男でオシオリ男(オシヒキ男でも可)は、オシ男の押しの強さとオリ男の慎重な打牌を良いところ取りしたような合体となります。(ただ本作では大体押してるw)
以上が雀奇合体となります。
これを踏まえた上で、ラスト対局の解説へと移ります。
――――――――――
最初はアリス視点から。
前座の二局では雀技奇襲するため、意図的にアリス・セリアの視点は存在しませんでした。
本局で初めに持ってきた理由は、雀技の復習が目的です。
アリスは雀技を最大限活用するため、リーチ狙いの手組みを重視するタイプとなります。
――――――――――――――――――――
アリス 手牌
[33345m 24688p 789s][ツモ牌 3p]
「リーチ」
打、6p。
36m、8pの変則三面張。
「リーチ!」
オシオリ男からの追っ掛けリーチ。
打、6s。
同巡内で追いつかれた。
――――――――――
開局の平場なので親リーチ相手でも、オシオリ男がリーチで対抗してくる。強気な無筋押しだが、捲り合いを制したのはアリスだった。
――――――――――
[33345m 23488p 789s][ツモ牌 6m]
リーチ、ツモ、ドラ1。親の30符3翻は2000オールだが、
「雀技! アリス・A・ワールド!」
――――――――――
アディションは英語で「加算」
1話で副題となっていた『A world』の意味です。
――――――――――――――――――――
東一局 一本場 ドラ7s
東家 アリス 40000
南家 団員 23000
西家 セリア 23000
北家 オシオリ男 22000
オシオリ男
[111229m 23456p 56s]
仕掛けの利かない形だ。雀技の餌食となりやすいが、
……四の五の言っても始まらん。たかが1枚揃えば1000点というだけ……!
ツモ牌、1p。
「リーチ!」
――――――――――
何牌も揃えば、強力な減点があるだけ。そう割り切り強気に攻める。ベタオリする双子に対し、ツモで活路を開いた。
――――――――――
[11122m 123456p 56s][ツモ牌 4s]
「リーチ、ツモ、一発、ドラ2。30符5翻、満貫2000、4000の一本場は2100、4100点だオシオリ!」
「雀技! アリス・S・ワールド!」
――――――――――
サブトラクトは英語で「減算」
2話で副題となっていた『S world』の意味です。
Aはアガったものに加算する技。Sはアガったものを減算する技。2種の雀技を復習したところで、いよいよ対局に突入します。
――――――――――――――――――――
東二局 ドラ2m
北家 アリス 35900
東家 団員 20900
南家 セリア 20900
西家 オシオリ男 22300
オシオリ男 手牌
[2223345m][中↑中中][9↑99m][1-4.3-6m待ち]
アリス 手牌
[手牌×10][←發發發]
セリア 手牌
[手牌×10][白白白→]
――――――――――
オシオリ男の大物手を、双子が妨害しようしている構図。前座の二試合でもありましたが、仕掛けに対して躱してくる傾向があります。
雀技の発動条件は「面前でのアガリ」であること。
今局の手筋は、双子を攻略する上での正攻法となります。
オシオリ男は上記の通り、雀奇合体によって雀運も上昇気流にあります。四面待ち、高打点の勢いで跳満をアガリ、トップ目に立った。
――――――――――――――――――――
東三局 ドラ8s
西家 アリス 32900
北家 団員 14900
東家 セリア 17900
南家 オシオリ男 34300
オシオリ男 手牌
[手牌×13][先制リーチ]
セリア 手牌
[678m 12378p 78s 東東南][ツモ牌 6s]
「リーチ」
打、南。
――――――――――
今度はセリアとオシオリ男の対決。
オシオリ男はトップ目といえども、点差は僅か1400。突き放すために、まだアガリに向かう一手が必要だ。
一方のセリアも現在3着目のため、親番での加点は逃せない。
二人のリーチがぶつかり合う。
今局を制したのはセリアだった。
――――――――――
[678m 12378p 678s 東東][ツモ牌 9p]
リーチ、ツモ、ドラ1。親の30符3翻は2000オールだが、
「雀技! アリス・A・ワールド!」
アリスからセリアへの宣言。牌山を捲り手牌が1枚一致するごとに、1000点が加算される。
――――――――――
三色は逃すも、アリスからの援護がくる。
Sは原則敵のみだが、Aは味方にも掛けることができる。
―――――――――――――――――――
東三局 一本場 ドラ3p
西家 アリス 30900
北家 団員 12900
東家 セリア 32900
南家 オシオリ男 31300
オシオリ男 手牌
[45・6s 南南發發][←978s][2↑22s][南.發待ち]
アリス 手牌
[手牌×10][東↑東東]
セリア 手牌
[手牌×7枚][中中中→][3↑33p]
――――――――――
再び仕掛け対決。
アリスは大した手ではないが、親のセリアがドラ3と怖い状態。しかしオシオリ男も8000点の手が入っている。
現状2着目だが、点差はほぼない。ここで親の11600点からのアガリは、かなりきつい。
南.發のシャボ待ちも悪くなく、やはり勝負の一局となる。
危険牌5pをも通し、気合いの強打で乗り切った。
――――――――――――――――――――
東四局 ドラ4m
南家 アリス 28800
西家 団員 10800
北家 セリア 28800
東家 オシオリ男 39600
アリス 手牌
[344678m 34p 56788s][一向聴]
オシオリ男 手牌
[手牌×13]
オシオリ男のツモ。
打、2m。
アリスは鳴かず。
――――――――――
2mを鳴くとドラ4mを切り出し、打点が3翻になる。雀技もできないため、面前リーチを目指している。
残りの塔子が344m、34pと両面待ちのため、面前派か喰いタン派かでも分かれる局面になりそうです。
点差的にも3900では迫力に欠けます。
リーチを打ち、痛烈な親被りをさせたい一手だと思います。
――――――――――
セリアのツモ。
打、2s。
「チー!」
オシオリ男が[←234s]と仕掛けてくる。
――――――――――
一方でオシオリ男は、仕掛けて速度を上げてくる。そのままの勢いでアガリを奪います。
[44567m 67p 678s][←234s][ツモ牌 8p]
「断么九、ドラ2。親の30符3翻は2000オールだオシオリ!」
――――――――――
5800点はトップ目としては良いアガリ。しかしアリスからすれば、面前を嫌う=雀技を恐れている、という評価に繋がった。
――――――――――――――――――――
東四局 一本場 ドラ2p
南家 アリス 26800
西家 団員 8800
北家 セリア 26800
東家 オシオリ男 45600
オシオリ男 手牌
[224m 23p 22345666s][一向聴]
セリアのツモ。
打、3m。
これはチーしない。
――――――――――
片アガリ4pでは、待ちが悪く低打点。そんな和了では舐められると、オシオリ男なりの境界がある模様。
――――――――――
オシオリ男 手牌
[224m 23p 22345666s][ツモ牌 1p]
「リーチ!」
打、4m。
2m、2sのシャボ待ち。
――――――――――
リーチを打つことで、雀技を恐れていないと主張している。さらに6sの暗槓までして勝負にでます。
アガリ後に減算を受けても、強がり挑発することでメンタル勝負でも引けをとらないのだと誇示した。
――――――――――――――――――――
東四局 二本場 ドラ南
南家 アリス 23500
西家 団員 5500
北家 セリア 23500
東家 オシオリ男 50500
オシオリ男 配牌
[13489m 9p 14669s 北白發]
――――――――――
連続和了とは裏腹に手が落ちる。配牌から勝負にならないと見て、初手ベタオリにいきます。
ちなみに今局が唯一オリた局面です。
しかしちょうどアリスの九種九牌と重なり、これを快く受け入れ南入となります。
――――――――――――――――――――
南一局 ドラ1s
東家 アリス 23500
南家 団員 5500
西家 セリア 23500
北家 オシオリ男 50500
オシオリ男 手牌
[45566m 789p 23499s][リーチ 4-7m待ち]
アリス 手牌
[手牌×10][東↑東東]
――――――――――
アリスの連荘狙いと、オシオリ男のリーチが衝突する。
点差は27000と有利だが、アリスに親を続けられると逆転の目が見えてくる。雀技がある以上、思っているほど余裕はないとの判断です。
そこに面前でテンパイ。ダマにするとアガったときに減算を受け、逆に持ち点がマイナスとなりかねない。
そしてリーチをすることで、例え減算されても軽微になる。さらに高打点なら双子の減点も多くなる。
雀技の効果は、あくまでも『持ち点からの減算』であって『打点を下げる』効果ではない。
アガっただけ双子の点数は削れる。これが仕掛け以外での攻略法となっています。
それをわかっていて、オシオリ男が勝負にでます。互いに削られながらも和了を決め、アリスの親番を潰した。
――――――――――――――――――――
南二局 ドラ西
北家 アリス 19500
東家 団員 3500
南家 セリア 21500
西家 オシオリ男 52500
オシオリ男 手牌
[23m 566778p 77s 西西西][ツモ牌 8p]
――――――――――
すでに出アガリ満貫のダマテンとしていました。大きく開いた点差と打点が8000あるなら、さすがにダマ解禁でも良いという判断。
そこに8p引きで一盃口が付き、ツモ跳満のダマが完成します。
当然5pを打つが、
――――――――――
『ロン』
「なにぃいいいっ!? ダマのダブロンだとぉおおおおおおっ!?」
アリスとセリア、ダブル倒牌。
アリス 手牌
[56788m 34p 234678s][ロン牌 5p]
セリア 手牌
[234678m 34p 22345s][ロン牌 5p]
――――――――――
両者2翻2000点の手で、オシオリ男の減点は4000で済む。しかしそれ以上に二人ともがA雀技により7000もの加点をしたことが痛い局面となった。
――――――――――――――――――――
南三局 ドラ9m
西家 アリス 28500
北家 団員 3500
東家 セリア 30500
南家 オシオリ男 48500
アリス 手牌
[手牌×13][先制リーチ]
オシオリ男 手牌
[456m 223p 4567888s][リーチ3-6-9s.4-7s待ち]
セリア 手牌
[手牌×13][追っ掛けリーチ]
――――――――――
三軒リーチの大乱戦。
まずアリスの先制リーチに対し、オシオリ男が超好形待ちを武器に挑み掛かる。子型のアリスとならば問題ないという判断です。
その直後に親のセリアから、追撃を受けます。
天王山。最も重要な局面となった。
壮絶な捲り合いを経て、勝ったのはオシオリ男。半荘一番の大勝負を乗り切り、勝利への道が明るくなった。
オーラス――
――――――――――――――――――――
南四局 ドラ北
南家 アリス 25500
西家 団員 1500
北家 セリア 25500
東家 オシオリ男 52500
3巡目
オシオリ男 手牌
[345m 23456p 567s 北北]
――――――――――
確定勝利条件は『オシオリ男か、団員がアガること』。もしくは『流局』。
アリスたちの条件は三倍満ツモか、倍満の直撃。
普通に考えれば、逆転される確率は相当低い。
だがオシオリ男にオリ意識はなかった。なぜならアリスの雀技が、条件を緩和するからだ。
アリスが跳満をアガると、
アリス 25500+12000=37500
オシオリ男 52500-6000=46500
この差ならA雀技で10枚を捲り、逆転ということも有り得なくはない。
つまりベタオリすれば、それだけアリスにチャンスが舞い込むということ。
――――――――――
3巡目
オシオリ男 手牌
[345m 23456p 567s 北北]
「リーチ!」
――――――――――
僅か3巡目での高速リーチに踏み切る。
なぜオシオリ男がリーチするのか。
早くて好形だからアガれそう!などという理由ではない。
アリスかセリアからの『ダブロン』を警戒していました。
もしもダマしてロンアガリすると平和、ドラ2で親の30符3翻で5800点。
それに合わせどちらかが満貫クラスをダマでアガったときに、
アリス 25500+8000=33500
オシオリ男 52500+5800=58300
ここからAS両方の雀技が発動し、
アリス 33500+12000=45500
オシオリ男 58300-14000=44300
となり捲られます。
アリスに12枚も乗ってオシオリ男に14枚も乗る可能性なんてないとの疑問もあるでしょうが、実は決め手となった牌姿はそうなっています。
こうして悲劇の逆転劇を逃れるため、大差ながらもオシオリ男はリーチします。
――――――――――
団員のツモ。
打、1p。
『ロン!』
アリスとオシオリ男の、ダブル倒牌。
アリス 手牌
[34599m 23456p 567s][ロン牌 1p]
平和ピンフ、ドラ3。30符4翻は7700点。
オシオリ男 手牌
[345m 23456p 567s 北北][ロン牌 1p]
リーチ、平和ピンフ、ドラ2、裏ドラ2。親の30符6翻は跳満18000点。
――――――――――
リーチをしたことでアリスとのダブロンからの、逆転劇を回避します。
だがしかし、
――――――――――
「ロン」
セリアからも和了ホーラ宣言。
「ト、トリプルロン……だと……!?」
新麻雀世界では、三人が同時にロンしたとき流局となるルールである。
――――――――――
流局となって全員の得点がなかったことになります。ただし特殊流局が成立するのは『三人がアガった』とき。
和了が認められた局面では、雀技が発動する。
――――――――――
アリス手牌
[34599m 23456p 567s][ロン牌 1p]
セリア 手牌
[345m 23456p 56799s][ロン牌 1p]
オシオリ男 手牌
[345m 23456p 567s 北北][ロン牌 1p]
――――――――――
なんと三人の手牌は雀頭以外すべて同じ。AS両方の雀技が発動し、1枚使いの牌がすべて乗る。
アリス・セリア 25500+12000=37500
オシオリ男 52500-1000-12000=39500
そして次の1枚は『北』。
ドラを雀頭にしていたオシオリ男は、さらに-2000点。
アリス・セリア 37500
オシオリ男 39500-2000=37500
同点によりアリスとセリアが席上となり、終局を迎えた。
――――――――――――――――――――
終局。
「こ、こうなったら最終手段……実力行使するオリよ……!」
二人が雀奇団特有の戦闘ポーズをとった。
アリスとセリアが嘲笑する。
同時に闇を解放。巨大な影となり、二対の兎を形成した。
オシ男たちが後ずさる。
『ひぃ……ば、化け物……!?』
――――――――――――――――――――
特に記載はありませんが、アリスたちが雀魔特有の正体バラしをします。
正確には『色欲の雀魔』となります。
どうやら7つの大罪にて、ウサギは色欲に当てはまるようです。アリスの観点からも相性がいいため採用しました。
このあとエピローグに移りますが、あえて語りません。気になる方は本作をご覧ください。
――――――――――
今作を制作する上で気になったのは、
1.主人公の台詞の少なさ
もはやどれだけ喋らずに主人公としての役割を果たせるかの、限界に挑戦するようでしたw
2.5枚使いの牌
アリスシステムで従来よりも、枚数オーバーのミスをしやすい(ないと思いたいw)
制作中で最も気をつけた箇所でしたね。
――――――――――
以上で
【アリス・ワールド! ― 超絶脱衣麻雀 外伝 ―】
の解説は終わります。
機会がありましたら、他作品についてもその内に触れていこうと考えています。
それでは、また
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?