ドリーム・パイレットの解説 part5 (完)
ドリーム・パイレット! ― 超絶脱衣麻雀 外伝 ―
【第5話 夢牌】
※ネタバレ注意
白彩はシスターを避難させ、安全を確保。
サシ男は一時撤退を指示する。
抗争が中断しようとした、そのとき、
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「ヨミ男! 動けるなら、手を貸すサシ!」
「その必要はない」
倒れたサシ男に、闇が覆い被さる。
「な、なんだこれは……!? どうなってるサシ……ぐおぁあああっ!」
影へと変貌した。
「じゃ、雀魔……!?」
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過去編でもフラグにしていたヨミ男が、怠惰の雀魔として本性を現す。
真の狙いは『白彩を雀魔にする』こと。
雀魔を放っておいては、自身にも周囲の皆にも災厄が降り掛かる。
白彩は怠惰の雀魔との、ラスト対局に臨む。
この対局は半荘ですが、全10局という前回の東風戦よりも短い対局です。
対局自体が短いのもありますが、それ以上にサシ男戦の長さが如実に出ていますね。
怠惰の雀風は、仲間の雀魔に差し込みさせるというもの。4度のアガリすべてが、仲間からのロンとなっています。
アガれないときには堅守に回り、仲間になんとかしてもらうという、雀魔の割にはせこい戦術ですw
ただ3対1の状況では、なかなか理に叶っています。麻雀は自身がアガるよりも、特定の一人をアガらせないことのほうが簡単なためです。
サシ男を生け贄とした強雀魔の働きもあり、中盤までに怠惰が大量リードを奪う展開に。
残り3局になったとき、白彩の反撃が始まる。
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南二局 一本場 ドラ8p
北家 強雀魔 3800
東家 怠惰 70200
南家 雀魔 -1500
西家 白彩 27500
[34567m 88p 567s][←657p]
2-5-8mの三面張。
打点は、18000。
超好形、高打点。文句のつけようがない。
ツモ。
……な、なに……!?
[34567m 88p 567s][←657p][ツモ牌 白]
言うまでもなく、白彩への超危険牌。
しかも白彩は、9sポンから入っている。通常でも相当危ない牌だ。
怠惰の選択。
打、三萬。
白は押さない。
白彩との点差は、42700。この点差で無理をする必要性はない。放銃しないことが、第一である。
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白彩に対し最も打ちにくい牌を掴み、ここからオリを選択する。
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「ヒヨったわね?」
「ぬ……?」
「淀みなかった打牌に、一瞬の迷いが生じた。おそらく断么九の手牌に、よほど通しにくい牌が来たのよね?」
「なにを言っている……!?」
「その引いた白のことよ!」
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なぜか雀魔戦で恒例となった「お前、ヒヨったな?」が出たので流れが白彩に傾く。
白彩の8m強打でアガリ逃しとなる。
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「ツモ!」
白彩、倒牌。
[88999p 56s 白白白][9↑99s][ツモ牌 7s]
白、ドラ2。50符3翻は1600、3200点だが、
「雀技! 夢色牌画っ!」
白3枚が[999m]へと姿を変えた。
「三色同刻、ドラ2。50符4翻、満貫2000、4000の一本場は2100、4100点!」
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雀技によって、様々な打点上昇を見せていく。
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南三局 ドラ北
西家 強雀魔 1700
北家 怠惰 66100
東家 雀魔 -3600
南家 白彩 35800
怠惰 手牌
[3356p 456s][←879p][北北北→]
4-7p待ち。
白は第一打目に、捨ててやった。決して雀技に怯えてなどいない。
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前局のことをめちゃくちゃ気にしていますw
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強雀魔のツモ。
打、7p。
「ロン! ローォンッ!」
「雀技! 夢色牌画っ!」
怠惰の捨て牌、白が輝く。7pへと姿を変えた。
「我が強制振聴……!?」
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捨ててあっても、ダメなものはダメなようです
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「ツモ!」
白彩、倒牌。
[1234477889s][←白白白][ツモ牌 6s]
混一色、白。30符3翻は1000、2000点だが、
「雀技! 夢色牌画っ!」
白3枚が[456s]へと姿を変えた。
[1234477889s][←456][ツモ牌 6s]
「清一色、一気通貫。30符6翻は跳満3000、6000点!」
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雀技の中では、最大に打点が引き上がる方法で差を詰めていく。
オーラス
南四局 ドラ7m
南家 強雀魔 -1300
西家 怠惰 63100
北家 雀魔 -9600
東家 白彩 47800
点差は15300。
白彩が親のため、連荘阻止のアガリが勝利条件。
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怠惰 手牌
[777889m 西白白白][←456m]
「雀技! 夢色牌画っ!」
手牌の白3枚が、[445m]へと姿を変える。
……我の手牌を……!?
[445777889m 西][←456m]
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ついに見えない相手の、手牌を弄り始めます。
ここであえて染め色の萬子に変えたのは、逃げ場をなくすためです。さらに同じ萬子の混一色を狙う白彩に対し、他家が差し込みにいけないようにしています。
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怠惰 手牌
[3444577889m][←456m]
6-9m待ち。
白彩のツモ。
打、5m。
怠惰、ツモ。
[3444577889m][←456m][ツモ牌 2m]
打、5m。
待ちは同じだが、2mは白彩に通っていない。
現物5mを打ち、1次巡に備える。
「ロン!」
「なにを愚かなっ! 振聴だぞ……!?」
[123666m 東東東白][西↑西西][ロン牌 5m?]
アガってすらいないが、
「その5mは私が雀技で変えたもの! だから私の意思で、戻すことも可能よ!」
「ま、まさか……! そんなことが……!?」
「雀技! 夢色牌画っ!」
5mから、再び白へと戻る。
[123666m 東東東白][西↑西西][ロン牌 白]
「混一色、東。親の40符3翻は7700点!」
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ここまでに白彩が見せた雀技のパターンは、
1.手牌の『白』を、相手の当たり牌に変える。
2.河の『白』を変化させ、四風連打にする。
3.相手の捨て牌『白』を、当たり牌に変化させる。
4.『白』をカン材にしまくり、四槓流れにする。
5.手牌の『白』を変化させ、打点を上昇させる。
6.壁牌の法則を、5枚目の牌で無視する。
7.ドラ表示牌を『白』を変化させ、打点を下げる。
8.河の『白』を変化させ、強制振聴にする。
そして未だにやっていないのは、
9.一度変化させた『白』を再び戻し、『白』で放銃させる。
ただ『白』を変化させるだけの能力といっても、様々なパターンを見せることができました。
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ちなみに怠惰の最終打牌ですが、
[3444577889m][←456m][ツモ牌 2m]
雀技の影響がない2mをツモ切ればいいのでは?と思った方もいるかと存じます。
その場合は『白』を2mに変化させ、
[123666m 東東東白][西↑西西][ロン牌 2m]
↓
[1223666m 東東東][西↑西西][ロン牌 2m]
これで嵌張2mへの放銃となります。
さらに実は『白』1枚を自由な待ちにできるため、現物と東以外を打つと全部当たります。
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対局が終わり、エピローグへ。
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開春。
教会の鐘が、高らかな音を立てる。
敷居内には、大勢の子供たち。キャンパスの前で、絵筆を握っていた。
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最初と同じ書き出しですが、冬から春へ時間が経過しています。
さらに『乾いた音』から『高らかな音』に変わっていて、何気なく鐘を新調した描写がある。
子供たちも『鉛筆』から『絵筆』に道具がグレードアップしています。
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今はみんなで、デッサン会をしている。
ただ絵を描くだけではない。全員の作品を元に、オリジナルの麻雀牌を作り出す予定だ。
ふと筆を止め、景色を眺めた。
満開の桜だ。
……彼女たちは、今頃どうしているのかな……。
花絆で結ばれた、二人組。去年は判り合えなかった。
もしも次に会ったときは、
……彼女たちの夢も聞いてみたいな……。
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突然『夢』という単語が出てくる。
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キャンパスに描く夢。理想の形が広がっていく。
子供たちも、絵の完成が近そうだ。そこには様々な、夢があった。
……早く形にしてあげたいな……。
みんなの夢が詰まった牌。
「夢色牌画!」
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これで本作は終わります。
最後は「それが言いたかっただけ」感が満載ではありましたが、上手く締められたほうだと思うことにしますw
本作は外伝シリーズ最長かと思いましたが、『花牌の盟友』に500文字程度だけ及びませんでした。あの作品の異様な長さに、改めて驚かされます。
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以上で
【ドリーム・パイレット! ― 超絶脱衣麻雀 外伝 ―】
の解説は終わります。
機会がありましたら、他作品についてもその内に触れていこうと考えています。
それでは、また
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