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ラブ・ストーリーは突然に始まらない

息せき切って駆け込んで、ドアを閉めて、腰を下ろして、ふーっと息をついた瞬間に目が合ってしまった。確かにあなたのまっすぐな視線が私を捉えたと感じた。その時、「ラブ・ストーリーは突然に」のあの”トゥクトゥン”というイントロ、恋の始まりを予感させるあの”トゥクトゥン”が私の鼓動とシンクロした…!

・・・なんていうドラマチックなことは微塵も起こらなかったのですが、いきなり顔があったのは本当のこと。ラブストーリーが始まるくらいに突然に、顔があった。

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はい、どーん。すみません、だいぶ盛りました。私が見つけた顔、それはトイレの鍵なのでした。

そういえば、子どもの頃住んでいたマンションのエレベーターホールの壁についたシミが女の人の顔に見えて、とても怖かったのを思い出した。コンセントの差込口が顔に見えたり、住宅の窓の並びが顔に見えたりすることも時々ありますよね。このなにかが顔に見える現象には名前が付いているのを知ってました?私は知らなかった!「シミュラクラ現象」と言うんですね。点が3つあると、人間の脳は顔と認識してしまうのだそう。

このシミュラクラ現象、英語のsimulacrum(似姿、幻影、見せかけ)の複数形simulacraが語源になっているみたい。3つの点があると、脳が勝手に顔だと判断するようにプログラムされている。でもその現象には幻影と名前が付いているというのがなんとも面白いですね。

まぁ、自宅のトイレでラブストーリーが突然始まっても困ります。どちらかと言うと

♪ふとした瞬間に視線がぶつかる〜 

って「負けないで」の方がトイレでふんばるBGMにはふさわしかった気がしました。

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