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「不安」で人は意図通りに動かない

こんばんは。「片耳の歌うカラーセラピスト」であり「片耳の歌う防災士」でもあるゴリィです。「片耳の歌う」は僕が音楽を趣味でやっている、しかも片方聴こえないのに、という妙なアピールです(笑)。

今日は、少し「防災寄り」の話をしてみますが、人が「不安」を感じたときに「行動」を果たして促すか、という話です。


YouTubeにある「不安煽り系」の動画

YouTubeで防災系の動画にどんなものがあるかというのを調べてみたことがあります。

①防災リュック、非常持ち出し袋の中身の動画(YouTuberがよくやってる)

②災害の時に役立つ「知恵袋」的な動画

災害の危険を煽る動画

④緊急地震速報を再現する動画

実はこの中でいちばん再生回数が多いのが③。チャンネル登録者数も多く、動画には広告が入るくらいで、再生回数が10万回を超える動画がズラリ。

次が④。このへんになるともはや趣味(別にいいと思いますよ)なんですが、みんな緊急地震速報が出る瞬間が好きなようです(笑)。そんな僕も過去に出た実際の緊急地震速報(再現ではない)を見て初動の呼びかけや情報が発表される時間経過を研究したりはしていますが。

話を「不安煽り系」に戻すと、「もしかしたら起こるかもしれない自然現象」を、さも「危機が差し迫っています」と伝えています。自然現象ですから、本当に起きるかもしれませんし、起きないかもしれません。ただ、あたかも「もうすぐ起こる自然現象」として不安を煽りたて、「危機意識を持ちましょう」で締めくくります。


実は必ずしも「防災啓発」になっていない

さて、「不安煽り系」の動画。「地震がいつ起こるか」という「地震予知」は誰もが興味があるので再生されるのは当然のことです。

では、その動画から得られるものとはなんでしょう?

その正体は「不安」です。そりゃ「こんなとんでもない地震が起こる」とか「〇月に地震が起きる」とか言われると、しかも不安を煽るBGMや効果音付きで・・・

みんな不安に思うじゃないですか。

最後に「危機意識を持ちましょう」「備えをしましょう」という呼びかけで終わるのがお決まりです。

僕はこの動画で危機意識を持って「きちんと行動する人」もいるとは思うので動画そのものの価値は否定しませんが、「不安しか持てない人」にはメンタルヘルス的な悪影響しかないのです。


「不安」を煽ると行動が止まるか、過剰反応する

「不安」という感情は「自分へのマイナスの結果を感じたとき」に発生します。その結果、「自分の身を守れ」というサインにつながります。

自分の身を守るための行動は2つあり、「身を隠す」か「相手を攻撃する」のどちらかです。この状況は「交感神経」というざっくりいうと「興奮させる」神経が優位になるので、「冷静に正しく行動できるか」と言われると疑問符がつきます。

「身を隠す」となった場合、ドキドキしながら行動が止まります。つまり、何もしないことになります

逆に、「攻撃する」になった場合は「過剰反応」になります。極端な例でいくと、「ノストラダムスの大予言」で1999年に地球が滅亡するというのがあり、それを信じて財産をすべて使い切ったり、最悪自殺したりという過剰反応がありました。今回の動画の場合は「さらに不安を煽る動画を見て、さらに不安になる」という反応が考えられます。


「コロナ禍」で人間の攻撃性が増している

話は変わり、昨年から続いている「新型コロナウイルス」の脅威。

首都圏では21日に緊急事態宣言が解除されますが、今度は僕の住む宮城県が県独自の緊急事態宣言を出しました。さらに、全国的に見ても(首都圏含め)感染者数は横ばいから微増になっているところもありますね。

「ワクチン」という安心情報めいたものも出始めましたが、「いつそれを接種できるのか」という具体的な情報はまだなく、安心情報とは言い切れないです(トンネルの出口の可能性なのは間違いないですが)。逆に「変異株」「第4波」という新たな不安材料が出てきて、相変わらず不安だらけの社会です。

今の世の中の状況を読み解いて、適切に行動に移そうという冷静な行動をしている人も実際にいます。ただ、それは少数です。

仕方ないです。「不安」が「行動の停止」か「過剰反応」を生み出すのは「生理現象」と言えるので。「コロナはただの風邪」と自分に言い聞かせマスクをしない人たちがいたこと、コロナ警察、マスク警察がいたこと、Twitterで(コロナに限らず)見解の相違のある人たちを口汚く攻撃しあっている状況、これらは人間の防御反応の表れの具体例です。

ちなみに、過剰反応している人達が目立つ一方、どうしていいか分からず引きこもっている人も相当数いると思います。見えていないだけで。


「伝え方」と「見てほしい相手の想定」の問題

話を脱線させましたが、「不安煽り系動画」の話に戻します。

人それぞれ考え方の違いはありますが、「自然災害で命を落とす人を減らしたい」という気持ちを持っているのは、①・②・③どの動画でも「共通の思い」だと思います(④は知らんが)。

要は「伝え方」と「見てほしい相手の想定」の違いだと思います。

①と②は、「すでに防災に興味があって、具体的に何かしたい」人向け。何をしたらいいかが明確で、真似したら「安心」しますよね。

③は「災害に漠とした不安を持っている人」向けです。「漠とした不安」を「確実な不安」にすることで「行動」を促そうというものです。ただ、前述の通り不安だけで行動に移せる人は少数派だと思います(その少数派がいる限り決して動画の価値は否定しません)。


「批判覚悟」で制作している僕の動画

余談ですが、僕も「トドろきっ!防災情報」という「ツイキャス配信」をしていて、それを、YouTube公開しています。

「ツイキャス配信」なので「防災にあまり興味のない人」でも「軽い感覚」で見てもらえるようにし、YouTubeに載せる際につける字幕はだいぶおふざけも入っています。

3/16配信の「新しくなった気象庁のホームページ」を紹介した回です。

もうひとつ、自宅に安全なスペースを作ろう、という回です。

そして、2/13の地震で僕の部屋に作っていた安全スペースがちゃんと機能したか検証した動画です。

ハッキリ言っちゃうと、「ふざけている」っていう批判覚悟でやってます。

それは、「不安を与える」では人が行動しないのを知っているからです。

そもそも、「さして防災は興味ないけどこのあとのツイキャス配信のコーナーのついでに見とくか」という人が相手なので、不安ではなく「ちょっとだけ興味をもってもらうこと」と「行動のきっかけのアドバイス」がメインです。

ここは、「動画を見てもらいたい対象が違う以上、伝え方も変わる」ということでしょうね。僕の動画が何万再生されること自体そもそも狙ってませんが、「防災に興味のない人が防災に触れる」という動画があってもいいじゃないですか(笑)。


相手の意図を読み取る力

まとめると、「不安煽り系」の動画を「漠然」として見るのは相手の意図したものではありません。おふざけ動画でない限り、相手には「伝えたいメッセージ」が必ず存在します。それを読み取れなければ、単に「不安」しか感じないストレスになる動画になり得ます。

これは人間関係にもいえることで、「相手の意図」を読み間違えると人間関係を悪化させてしまったりします

「ソーシャルディスタンス」は、人と人が物理的に離れることを意味しますが、それは同時に「こころの距離が離れる」ことも意味します。今は、これまで以上に「相手の意図を読み取る力」を試されているときと思ってください。

同時に、発信する側も「相手に正しく意図が伝わるか」をこれまで以上に意識していかなければならないのは言うまでもありません。

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