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漫才『将棋』

A B はいどうも〜

A おれ将棋好きなんだよ

Bおおそうだっけ

A 最近すごいじゃん、あの人
B うん
A 藤井四段

Bいつの話だよ、藤井八冠ね。藤井竜王とか名人とかなって、最近8冠を達成したんでしょ。

Aあそっか。俺も小さい頃から将棋やってればなーって思ったよね。
B あなに、将棋習ってたりしたの?

Aたしなむ程度に
Bなんやそれ
Aちょっとやってみるか
Bいいね

(三八マイクを2人の口で挟むようにして、観客側に横顔を向ける)

A パチリ(歩を前に進める)
B パチリ(歩を前に進める)

Aパチリ
Bパチリ

A(ピシャン)王手!
B 何してんねん。なんで俺の飛車動かしてんの
A 寝取った
B 寝取った?まってどゆこと

A 飛車がー高飛車プリンセスがぁ退屈そうだったんだあ。
B おまえ将棋の駒に感情移入するタイプ?

B(高飛車プリンセスになる)
はぁあつまんないなあ、ねえねえ歩兵、おにごっこしよ

A(槍を持った構えの歩兵)
はっ、王女さま。ご要望にお応えしたいのは山々ですが、私の使命は貴方さまをお守りすること。戦線を放棄して遊びに耽るなど滅相もございません。この戦が終わりし時、存分にお付き合いいたします。

Bちぇつまんないの

A(寝取る男になる)

B 誰も遊んでくれないし、もうつまんないよ〜。ねーえいつになったらこの戦い終わるのー、はやくやっつけて終わらせてー

A(勢いよく高飛車にキス)

B 何してんねん!

なんでいきなりキッスしてくんの。

A これで落ちた、一発。
B 落ちるか、そしてお前どっからきた。落ちたとしてなんで駒を動かせるルールに変わるんだよ

A え?だって落ちたやん、惚れたやん、俺の女やん
B 全然意味わからんわ、もうちゃんと将棋やろうや

A パチリ
B パチリ

A パチリ
B パチリ

A ポキリ

Bおぅい!お前俺の王に何してんねん!まっ二つやんけ。

A王殺した。めんどいから
Bめんどいからってなんだよ、将棋の醍醐味知らんのか

B(王)
はあ、娘が心配じゃ。戦ってるところをみたいとごねて仕方がないから、歩兵に世話を任せて戦線に出してしもうた。はあ心配じゃどうしたもんかの金

A (金)
我が王よ、飛車王女はいつもおちゃらけてはいますが俊敏な足をお持ちです。身の危険を感じた時にはおのずからあるじのもとへ帰り戻ることでしょう。

B そうかのお。ところで金よ肩を揉んでくれ
A はっ

A 雪が降ってきましたね
Bそうじゃのお。ああ気持ち。

A(両手のひらで王の頭を挟む)
B 何しとるんじゃ

A失敬。頭の上に雪が積もってたゆえ。
Bアゴを押さえる必要はなかろう。たのむぞ。
Aはっ

Bきもちいいのお

Bおいだから、何をしてるんだ。

A 失敬。頭皮のマッサージを

Bそんなのしなくて良い。それに下顎を押さえる必要はなかろう

A (首を)ポキリ

B なにしてんねん!!

A 首折った。王全然死なないから

B なんで身内に裏切り者おるねん。
もうええわ。こんな将棋やってられんわ

A今度はチェスやろうか
Bもういいぜ

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