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「写真はイメージです」どこまでアリ?

そんな奴には黙ってうんこを投げつけてやれば良いのだが、「海辺のカフカ」を読んでこれはわたしの目指す長編小説の理想型であると情感のこもった機構を通してそう判断されてしまったために村上春樹の創作に対する心構えが記された「走ることについて語るときに僕の語ること」をオーディオブックで聴いてしまった。なにせ就寝前、寝台に仰向けになって聴いたものだから正確な内容を記憶していることはない。いまから話す、小説家の才能がなんちゃらという村上春樹の創作に対する心構えは、小説家として何もことを成していないわたしが夢の中でつくりだした自己流の創作理論である可能性が多分にある。拡大解釈がふくまれるのは紛れもないと言い切って良い。是非とも話半分で聴いていただきたい。約束だぜ?

小説家が執筆業を続けていく上で1番大切なのは、やはり才能であると村上春樹は言う。才能とは、ええ、才能である。彼が発した、才能とは何かを説明する一言一句を全て忘れてしまった。1番大切なのは、やはり才能であると言っていたことは間違いない。そして、才能の不足を補う集中力と持続力も次いで大切であるといった旨のことを言っていた。限りある才能を、短時間のうちに集中してひとつのタスクに注ぐ。集中の持続力が無くてはならない。3日4日で力尽きてしまい執筆を放り投げてしまっては、長編小説を書き上げることはできない。このような説明を施し、集中力と持続力の大切さをわたしに教えてくれたのは村上春樹である。

連載小説を書きたい。わたしの敬愛する文筆家のひとり夏目漱石は、朝日新聞にて一日2000字前後の文字数を毎日書いて連載し「虞美人草」「門」などの長編小説を完成させた。「門」の総文字数を連載日数で割り算すると、だいたい2000字であることが分かった。だからわたしも毎日2000字執筆したい、とりわけ小説を連載して長編小説を完成させたいと思った。そうして小説の執筆を試みた。

難しい、難しい。前日のあやふやな算段では、今朝起きてから拙著「お呪い」の続きを執筆しようと心づもりしていたのだが夜更かししてしまったがために15時に起床した。残念に思うことなく、わたしはいまの今までぐうたらと時間を消費し気付けば夜の9時になっていた。これではダメだと怠惰な自分に鞭打ち、机に向かいマジックキーボードが付属されたiPadと相対した。自宅で執筆するときは、だいたいiPadでやる。散歩しながら外で書きたいなと思った時は、出無精なわたしは一度もそんなことを思ったことないのだが、あるとすればスマホで書く。

執筆アプリを開き、「お呪い」のタスクを開く。書けない。端的に言って、詰めるべきだと考えるアイデアを一度に並行して処理するのが、足りない私の頭では困難なのだ。具体的に何が難しいか述べても良いのだが、本題に入る前に2000字に達してしまいそうなので簡単に語る。

赴いたことのない土地や場所の情景を言葉で描写するのが難しい。インターネットに転がっている、作品舞台と合致しそうな写真を探す労力もなかなかある。情景描写に並行して、人物の心理描写を行わなくてはならない。主人公がその土地や場所に立った時、どのような感情になるのかその流れと機微を把握するのがまた難しい。小説を通して読者に伝えたいことを、どのような文体(文章の配列や語彙の限定)にすれば効果的にそれが伝わるのかについても工夫を凝らさなくてはならない。わたしの頭が足りないのか、人間一般にこんな作業を頭の中で並行して熟すのは不可能に近いのかそれは今考える事ではない。やるべきタスクはご覧の通りわかっているので、小分けにして意識的に考えていけば完成させることができるのは理論上是である。でもよお。

あと3時間で書けねえっすわ、おれっちには。これはまさしく私の能力不足である。

切羽詰まった私は舵を切り、簡単に書けそうな題目のエッセイ記事を執筆することにした。情けねえ。

「写真はイメージです」

主に食品のパッケージに表示されているこの文言。たとえば中濃ソース。原材料にいく種類もの野菜やフルーツが使用されていることをひと目で分からせるために、みずみずしいそれらの写真をきれいに配置しデザインされたパッケージ。

この前置きは、どこまでの誇張を許されるのだろう。調べたら簡単に答えが見つかりそうなので、妄想で「これは許されるのか?」というぎりぎりのアイデアを2000字に達するまで書くことにする。話半分で聞いてください。切羽詰まってます。コンビニ行ってきます。読み終えたら各自解散でお願いします。

牛のキンタマをソースでコーティングしたものをミートボールと見立てた、ミートボールのパッケージデザイン。

商品の内容に関して誤解を与えるようなデザインは禁止されているのだろう。こんな当たり前の了見をコンビニに行くまで気付けなかった。私は何を考えようとしていたのだろう。

おれ、こんな悔しい思いしたのはじめてだよ。もっと面白いこと書きたいよ。ハイチュウミニのぶどうスカッシュ味をふた粒口に放り込み、丁寧にその味を味わった。

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