#111 会社との向き合い方

一つ年上の女性社員が退職した。以前の組織体制の時に隣の部署だった人で、一緒に仕事をしたことはほとんどなかったが、飲み会などでは楽しく話すことがよくあった。今回、彼女が退職することは全く知らず、突然、送別会の幹事から連絡があってはじめて知った。彼女に会いたい気持ちもあったが、メールの宛先から分かる送別会に声がかかった人たちに久しぶりに会いたかった。

退職の理由が事前に知らされていなかったので、送別会では、彼女が僕のいるテーブルに来た時に詳しく聞いてみた。きっかけは、数年前に大々的に実施された早期退職だったようだ。当時、僕もその対象になる年齢で上司との面談があったが、その面談の回数は人によって違ったらしく、僕は1回のみだった。その彼女は5回も面談があったそうで、それはいわゆる肩たたきに値するものだったのかもしれない。そのときは早期退職を断ったそうだが、もともと50歳を何かしらの区切りとして考えていたこともあり、数年前からはじまった50歳以上の早期退職優遇制度を待って、今回、退職を決めたと言う。退職後は何をするかまだ決めていなく、これからの人生をどう生きていくのかゆっくり考えたいのだと。彼女は結婚しているが子どもはいない。子どもがいたら、会社にしがみついていたかも知れないが、自分を必要としない会社に見切りをつける気持ちになるのは自然だ。

もし、あのとき、僕も5回の面談を受けていたら、その時点で退職希望を出していただろう。プライドもあるが、求められていないのにモチベーションを保つのはしんどいからだ。30代の頃は出世することが一番の目標で、40代になると自分のやりたい仕事の実現が目標になり、50代になる前にキャリアチェンジをして研修職になった。こうなると、会社を利用した自己実現が目標になる。総合職のキャリアに比べると成果主義が色濃くなるが、それが自分には向いていると最近感じる。お金を稼ぐためだけの目的で会社に居続けられるのは40代までなのが、現実かもしれない。経営者からみると、50代には組織をつくるか技術や研究を追求する以外は期待していない。

今期から部署の体制変更があった。4つあるチームは組織上のチームとしてあるのみで、仕事はプロジェクトとしてチーム横断となる。そうなると、チームリーダーにはマネージメントの責務がなくなることになる。僕はそのチームリーダーだ。研究職になり、その体制になり、願ったり叶ったりだが、マネージメントをしないとほぼ自分の仕事に時間を使えて、むしろ余ってしまう。果たして、自分の仕事にどこまでエネルギーを出せるかが、これからの課題かもしれない。

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