#100 結婚できる日がくるかもしれない

同性婚が認められないのは違憲だという訴えが各地で起きている。先進国のほとんどでは同性婚ができるのに、日本ではパートナーシップ制度が広まったばかりだ。

昨年、東京都でこの制度が導入されたタイミングで、僕は付き合っていた彼にプロポーズをし、パートナーシップ宣言を申告した。この先、同性婚ができる日がくるなんて想像できなかったので、僕の中ではパートナーシップ=結婚と捉えて、プロポーズでも「結婚しよう」と言い、結婚指輪を買ってお互い指にはめて生活をしている。そして、彼は家族にカミングアウトをしているので、その家族にも会い、結婚の報告をした。ここまですると、マジョリティの結婚と変わらないように見えるが、いくつか違うところがある。相続権や相続税の税額軽減、所得税の配偶者控除など、お金に関することだ。

彼は15年前に購入した2LDKのマンションに住んでいた。一緒に暮らすことを話し始めたとき、僕が住んでいた賃貸アパートは1DKだし、彼のマンションもテレワークの二人が暮らすには手狭じゃないかと、そこを貸すか売るかをして3LDKのマンションを借りることを検討した。しかし、都内の3LDKはとても高く、今の住環境から極端にグレードが下がらない中で手頃な物件はなかなか見つからなかった。そんなうちに、彼もマンションを手放すことに不安を覚え始め、結局、僕がそこに移り住むことになった。

そのマンションは35年ローンが残っているため、毎月、ローンの返済と管理費、修繕積立金の支払いがある。そこにタダで住むわけにはいかないので、家賃として月額の半分を彼に支払うことにした。一方、生活費は共有のクレジットカードを使って食品や生活雑貨を購入することによって、折半しやすくしている。このように、何でも折半し、財産は共有していないが、もし、別れたり死別することがあったら、僕には家どころか家財も自分のものにはならない。最近の共働き夫婦も財産を共有していないと聞くが、相続できたり財産分与できる法律があるので、何かあったら法律に従えばいい。それはそれで全く揉めないわけではないとは思うが。何よりも、もし、自分が突然死んでしまったときに、財産が高齢の両親や姉だけに相続されてしまうのが耐え難い。

同性間ではパートナーシップ制度が広まる前、結婚に相当するものは養子縁組だった。同性婚が認められていない今でも、パートナーシップ制度よりも法律的に家族になれることもあって、それを選ぶ人もいるが、もし、この先同性婚が認められた場合、養子縁組を解消して結婚はできないらしい。

同性婚に対する各地での訴えが追い風になり、本当に結婚ができる日がくるかも知れないと、期待する気持ちになってきた。活動家ではないので、陰ながら応援することしかできないが、がんばってほしい。

外を歩いている時に、僕らとすれ違った人に夫夫(ふうふ)に見られなくても何とも思わないが、二人で助け合って生きていくための制度が受けられるようになりたい。結婚はそのためのものだと思っている。

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