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ディレクターとプロデューサーの違いは何か?という話

仕事の役職や職能を表す「ディレクター」と「プロデューサー」という言葉がありますが、この二つの違いを明確に理解している人はどれくらいのいるでしょうか。

僕は「あなたの仕事はなんですか?」と聞かれたら「一番長くやってきたのはWebのディレクターです」と答えています。

そこにはプロデューサーではない明確な理由があって「Webプロデューサーです」とは決して答えません。

ただそれも今になってようやくプロデューサーとディレクターの線が引けるようになっただけで、ディレクターとしてバリバリやっていた頃も今ほど自分の仕事がディレクターであることは自覚していませんでした。

兼務している人が多いから分かりづらい

実際にディレクターとプロデューサーは何が違うの?と思ってる人も多いと思うのですが、それを分かりづらくしている理由にディレクションとプロデュースを兼務している(一体化している)人が多いことが挙げられると思います。

特に小さなプロジェクトの場合、いろんな人が色んなことを兼務しないといけないので「それって仕事としてはプロデュース業務だよ?」ということをやってるディレクターや、ディレクションをバリバリやっているプロデューサーもいます。

なのでやってる本人ですら「あなたはディレクター?プロデューサー?」と問われてもうやむやしてしまうケースが多いのではないでしょうか。

業務のスコープが被ってる

ディレクターとプロデューサーの違いが分かりづらいもう一つの理由。

それは双方に携わるプロジェクトの業務に精通している必要があり、成果物に対するイメージを共有しているという点です。

同じようなものを見ていて、同じようなことを考えているプロフェッショナル同士なので、やるべきことも同じようなことを考えているしやったらできてしまうので違いが分かりづらいんですね。

プロデューサーはお金を作り、売り方までを考える

では、ディレクターとプロデューサーは何が違うのか?というとプロデューサーはプロジェクトを立ち上げて完遂させるまでのお金(予算、費用)を作るところから仕事が始まる、というのがディレクターとの一番の違いです。

そしてそのプロジェクトで何をやりたくてどうなりたいかの最初のビジョンをデザインするのもプロデューサーがやらなければいけない仕事です。

しかもプロジェクトのために用意したお金の多くは身銭の持ち出しか誰からの借金であることがほとんどなので、投じたお金を回収することもプロデューサーがやるべき仕事です。

プロジェクトを立ち上げる〜お金を作る〜使ったお金を回収する

この全てに責任を負うのがプロデューサーなので、「プロデューサー」という肩書きを持つ人は大きな権力を持って当然なんです。

ディレクターはどう作るかを考える

一方のディレクターですが、プロジェクトが立ち上がらないことには仕事が始まらないというのがプロデューサーとの大きな違いです。

プロジェクトの主旨や目的を理解し、それを叶える成果物をどうすれば作れるのか?そこを考え、実際に人モノ金を動かし、形にしていくのがディレクターの仕事です。

またお金(予算)を作るのはプロデューサーなので、ディレクターの大事な仕事のうちにコストとスケジュール管理というのが含まれます。

お金を作る労力とモノを作る労力を分散したのがプロデューサーとディレクターという職能

僕は自分の職能はディレクターだと思っていますが、中には自分でプロジェクト自体を立ち上げることもあるので、そういう時はディレクションもやりつつプロデュース業務を手掛けることがあります。

先に書いた「兼務状態」で仕事をすることになるのですが、そうなった時に一番感じるのが「時間が足りない」です。

プロデュース業務の中で極めて重要な「お金を作る」ために行うことと言えば出資してくれそうな人に会って話をするいわゆる”営業”に多くの時間を割くことになりますが、人に会う時間というのはそのプロデューサーのリソースを100%使ってしまうことになるので、その間はディレクターとしてやるべき制作の業務が完全にストップしてしまいます。

また、営業というのはたくさんの機会を作ってその中から一つ二つの成約を得る業務なので膨大な時間が必要になります。

そうなるとディレクション業務はほぼほぼお留守にせざるを得なくなるので、(やろうと思えばできるけれども)ディレクションは他の人に任せようとなる訳です。

ディレクターの方も”お金の心配”をしながら仕事をする時ほど創造力と集中力が落ちることはないのでプロデュース業務は他の人に任せて仕事を切り分けた方が効率的な場合が多くあります。

加えて能力的には両方できるけれども、よりプロデューサー向きの人、ディレクター向きの人という適正も経験を重ねていくなかで出てくるので、どちらかに重心を寄せていくパターンもあると思います。


佐久間宣行さんというテレビクリエイターの方がいらっしゃいますが、あの方はかなり高いレベルでプロデューサーもディレクター業務をこなしている方だと思いますが、肩書を”プロデューサー”としている以上、自らのメイン業務を

プロジェクトを立ち上げる〜お金を作る〜使ったお金を回収する

と考えているんじゃないかな?と思います。

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