26.誰のためのBirthday?
68年9月18日、スタジオに一番乗りしていたポールはBirthdayのリフを弾いており、全員が揃うとその場で曲を書いてバッキング・トラックを録り終えました。
一旦、ポール宅に移動して映画を観て、戻ってきてから曲を仕上げたと言うのが公式情報です。
この時期に誕生日が一番近いのはジョンの10月9日ですが、ポールは「特に誰かの誕生日だったかどうかは思い出せない。」と語っています。一方でジョンは「50年代にヒットした"Happy Birthday Baby"のような曲を書きたかったんじゃないかな。」と語っています。
2人の発言から、少なくともポール主導で誕生日をテーマにしたのだけは確かなようです。
ここで非常に不可解な事実があります。ポールには何か詮索されたくない記憶があるのでしょう。
ホワイトアルバムのセッションを撮影したリンダの写真が残されている通り、9月下旬に渡英してビートルズのレコーディングに帯同しています。
そしてリンダ自身がアメリカから渡英した時にHappiness Is A Warm Gunのレコーディング(9/23~25のいずれか)を見学したと語っています(『WINGSPAN』に収録)。
そして最も重要なのはリンダの誕生日が9/24だという点です。
リンダは誕生日頃に渡英し、ポールがリンダに"They say it's your birthday."と言うと、誕生日の近いジョンが"It's my birthday, too. Yeah!"と応答し、ヨーコとパティ―も加わってビートルズ・ファミリーにようこそ、とパーティを開いているかのようなウェルカムソングになっています。
疑う余地の無い展開ですが、ポールには一体どんな不都合があるのでしょうか???
少なくともその後の二人は行動を共にし、それにまつわる曲がゲットバックセッションに持ち込まれています。
話は変わりますが、この時期のポールには解き明かされていない謎が他にも残っています。
ピアノで作曲する時にフラット系のKeyを使うようになるのです。
例を挙げてみますと、
Key F(フラットが1つ)のHey Judeで始まり、
Key Bb(フラットが2つ)のOh! DarlingやThe Back Seat Of My Car、
Key Eb(フラットが3つ)のMartha My DearやThe Long And Winding Road、
と明らかに意識的に使っています。
この答えはいずれ誰かが解明してくれるでしょう(あなたかも?)。
補足:Key BbのOh! Darlingは今夏に聴くことができるでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?