22.モノバージョンを作らなかった最初の曲は?

Revolutionはジョンがシングルリリースを目論んだ曲です。当然シングル用のモノバージョンが必要となりますが、史実はそうなっていません。

それを解説する前に3種類あるバージョンを整理しておきます。

ジョンはイーシャーデモとして録音した中でRevolutionをベストソングと考えていました。この曲をメッセージソングとしてリリースするためにスローテンポで演奏したのがRevolution 1です。
その後半部分(シングルに使えない部分)を転用して分岐したのがRevolution 9でしたが(この時点で曲名に枝番が付きます)、そもそもRevolution 1はシングルヒットを狙うにはテンポが遅すぎるとしてリメイクされたのがRevolution 2(後の無印Revolution)です。

もしも、Revolutionはカッコいい、Revolution 1は中途半端、Revolution 9は理解不能、と感じるならそれはポールの読み通りです。

ここまでが公知の事実となっていますが、不可解な点があります。

Revolution 1Revolution 9にはモノバージョンがありません。最初にステレオバージョンを作成して、それをモノバージョンとしても使っているのです。

この理由は定かではありませんが、ホワイトアルバムのアメリカ盤がステレオのみとなった事と関連がありそうです。
この時期に(68年6月頃)、ジョンがモノとステレオの考え方を変えた、あるいは勘違いしていたと推測されます。

しかし、シングルは依然としてモノラルでしたので翌7月のスピードアップしたRevolutionはモノが先に作られています。

いつも通り録音直後にモノミキシングをするというスタイルは10月上旬まで続きますが、10月8日以降は遂にステレオ優先となります。ここにきてアメリカではモノラル盤を発売しない事が確定したと思われます。

その顕著な影響は、ミキシング作業に現れました。
最初は10日のGlass Onionのステレオ・バージョンです。ベースの音色はEQで低域をカットした硬い音に加工されましたが、直後の同モノ・バージョンはノーマルな音色のままです。
更に13日のDear Prudenceのステレオ・バージョンでは2'50"付近のベースだけをワンポイントで加工しています(参考:モノ・バージョン)。
ジョージはこれに感化されたのか、翌日のWhile My Guitar Gently Weepsのステレオ・バージョンで同じ音創りをしています。そして、こちらもやはりモノ・バージョンはノーマルな音色です。

ちなみに、Martha My Dearはモノとステレオを作成したにも関わらず(10/5)、モノラル盤にはステレオを流用しています。

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