生命起源における増殖能力の謎

生命起源における増殖能力の謎

 著者:松尾宗征先生(広島大学)

  この記事は、生命誕生のなぞを解明する非常に重要な知見であると思います。なぜ自己増殖を獲得できたのかの解明をするための手掛かりとなると思います。

筆者らは、アミノ酸(チオエステル化アミノ酸)をエサとすることで物理的自触媒反応により増殖するコアセルベート液滴型人工細胞を世界に先駆けて創製しました。(下の図)

これは、アミノ酸を還元剤が含まれた水に添加すると、ペプチドができる(平均4個)。これらが、液滴を形成する。

エサとなるアミノ酸を与え続けることで液滴が大きくなり、さらには物理的刺激を与えることで分裂を起こす。

これはまさに、細胞分裂のような現象で、すごい発見だと思います。

このコアセルベート液滴は、DNAやRNAも濃縮することで、生存能力が向上しているらしい。ほぼ細胞ですね。

自己増殖は、生命であることの特徴の一つであり、生命誕生のカギを握る重要な現象であると思います。

この雑誌は化学 Vol.77 No.4(2022)です。ご興味があれば是非読んでみてください。

https://www.kagakudojin.co.jp/book/b603306.html

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