フルサイズミラーレス比較 顕微鏡撮影に使うなら?
今最も盛り上がっているカメラのカテゴリーといえば、フルサイズミラーレスですね。ソニーαシリーズを筆頭に、各社から続々と新機種が登場しています。
今回は、ソニー α7Ⅱ、キヤノン EOS RP、ニコン Z5 の3機種を用意し、マイクロネット独自の視点で、「顕微鏡撮影に使用するなら、どの機種が優れているか?」をまとめてみました!
3機種比較一覧
顕微鏡への取付けにはNY-1S 35スーパーアダプターを使用しています。
① 解像度
1位:キヤノン EOS RP・・・2,620万画素
2位:ニコン Z5・・・2,432万画素
3位:ソニーα7Ⅱ・・・2,430万画素
最も解像度が高いのはキヤノン EOS RPになります。ついで僅差でニコンZ5とソニーα7Ⅱという結果になりました。
撮影後にトリミングする場合など、より高解像度をご希望であれば、EOS RPが良いでしょう。
しかし、実際の撮影画像をご覧いただいて「さほど差はないんじゃない?」と感じるようであれば、解像度よりも色味などの好みで判断してもよいかもしれませんね(いずれも露出0 / WB AUTOで撮影)。
② 耐振動性
1位:ニコン Z5・・・ボディ内手ブレ補正 / サイレントシャッター搭載
2位:ソニー RP・・・ボディ内手ブレ補正 搭載
3位:キヤノンEOS RP
”一眼レフカメラ”という名前の意味をご存知ですか?
”レフ”とは、”反射”。つまり光線反射用のミラーを搭載したカメラのことを一眼レフカメラと呼びます。
フルサイズセンサーの一眼レフカメラともなれば、そのミラーも大型で重くなります。シャッターを切る度に可動するこの大きなミラーが発生させる微細な振動は「ミラーショック」と呼ばれ、特に高倍率の顕微鏡撮影において画像ブレの原因となることがありました。(すべてのカメラに発生する現象ではありません)
そこで、ミラーレスカメラの登場です。ミラーが無いミラーレスカメラであれば、機械的振動はほとんど発生しません。振動を嫌う顕微鏡撮影においては、まさに理想的な構造と言えます。
光学顕微鏡において最も高い倍率である100倍対物レンズ使用時の撮影画像を比較してみました。
いずれも画像ブレなく、シャープに撮影できていると思います。
また、ただでさえ機械振動が少ないミラーレスカメラでありながら、さらなる振動対策として、ボディ内手ブレ補正(ソニーα7Ⅱ, ニコンZ5)や、サイレントシャッターモード(ニコンZ5)を搭載した機種も!
特にニコン Z5はボディ内手ブレ補正とサイレントシャッター(幕シャッターも行わない完全非可動のデジタルシャッター)を搭載し、カメラ内部の振動 を完全ゼロ化し、外部からの振動に対しても効果を発揮します。周辺機器の影響で振動が気になるような現場、あるいは高倍率での撮影が常の現場などで効果を発揮するでしょう!
③ PCコントロール
1位:キヤノン EOS RP・・・ソフト無償 / 高評価
2位:ソニー α7Ⅱ・・・ソフト無償
3位:ニコン Z5・・・ソフト有料
PCコントロールとは、カメラとPCをUSBもしくはWi-Fiで接続し、PCの画面上に顕微鏡像をライブで表示させながら、操作・撮影・取り込みが可能になる便利な機能です。
中でもキヤノン製のPCコントロールソフト「EOS Utility」は、安定した使いやすさで大人気!顕微鏡撮影用一眼カメラとして、長くEOSシリーズが選ばれてきたのも、このソフトの担うところが大きいと言っても過言ではありません!しかも無償で付属するこのEOS Utility、USB接続でも、Wi-Fi接続でも、どちらでも使用できます。
ソニー製PCコントロールソフト「Imaging Edge Desktop」は、α7シリーズのシェア拡大と合わせて、じわじわと人気を上げているこちらも無償ソフト。こちらもUSBとWi-Fiどちらでも接続可能。ソニー特有の洗練されたインターフェイスが魅力です。
④ その他
デジタルズーム・・・顕微鏡の拡大倍率を超えて、さらにサンプルを拡大して撮影できるのがデジタルズーム。今回の3機種のなかで搭載しているのはα7Ⅱのみ。ソニー独自の全画素超解像ズームで、画像の劣化を抑えた高画質なデジタルズームが可能です。
結論
いかがでしたでしょう。長年にわたりさまざまなメーカーのカメラの検証を行ってきたマイクロネットスタッフが一番に得た感触は、どの機種も非常にバランスがいい!というものでした。
一眼レフ時代は、メーカーによって特徴に大きな差があり、「この機能はこのメーカーが使いやすいんだけど、こっちの機能は別のメーカーがいいんだよなぁ・・・」といった、どこか"物足りない部分"というものをどのメーカーももっていたように思います。
しかし、新ジャンルカメラとして各社肝いりで開発しているフルサイズミラーレスだけあり、いわば「必要な機能全部入れました!」といった気概を感じます。それくらい、一眼レフ時代のしがらみから開放され、本当に使いやすいカメラになっていると思います。それは顕微鏡撮影においても同様です。
と、いうわけで、顕微鏡撮影においてこの3機種を選ぶのであれば、それぞれの特徴によって次のようにおすすめします!
PCコントロールと安心感ならキヤノン EOS RP!
顕微鏡撮影装置としても長年にわたり不動の人気を集めているEOSシリーズの正当進化機として、その実績と変わらない使いやすさは大きな魅力です。付属のPCコントロールも、顕微鏡撮影に不可欠との高い評価を集めてきました。言ってみれば、「このカメラなら間違いない」そんな安心感を求めるならキヤノン EOS RPがおすすめです。
EOS RPを使った顕微鏡撮影装置
振動に強いのはニコンZ5!
サイレントシャッターには驚き!ただでさえ振動レスなミラーレスカメラでありながら、さらに幕シャッターをキャンセルし電子シャッターとすることで、完全振動ゼロを実現しています。また、リモコンを併用すればもちろん本体にふれる必要もありません。より高倍率で精度の高い撮影が必要な現場での使用におすすめです。
もっと高倍率を求めるならソニーα7Ⅱ
顕微鏡の最大倍率を超えて、さらにサンプルにズームすることが可能なデジタルズーム。なかでもソニー独自の全画素超解像ズームは、画質の劣化を抑えた高画質なズームが可能です。PCコントロールも搭載したEOS RPに匹敵するバランスがありながら、より高倍率でサンプルを撮影したいかたにおすすめです。
気に入っていただけたら、記事への「いいね」やコメントをお願いいたします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?