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坂井存 Zon Sakai 「三島発、クレマチスの丘へ。旅する《重い荷物》の憩い」(6日目)

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《重い荷物》を担ぎ疲れ、長泉町の「ヴァンジ彫刻庭園美術館」へ。

美術館では、岡野晃子副館長が出迎えてくださり、館内をツアーしていただく。ここは、イタリアの彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジをコレクションする世界で唯一の美術館である。見晴らしのいい丘にのびのびと作品が配置され、建築と自然、彫刻が調和した美しい景観を生み出している。

私が富士山と旧東海道沿いでパフォーマンスを行った旨をお伝えすると、ちょうど隣の「ベルナール・ビュフェ美術館」で「東海道五十三次」と「富士山」をテーマにした展覧会『わたしたちの東海道 富士山のある風景の魅力』を開催中とのこと。「ぜひ!」とお勧めされ、後日見に行くことに。

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彫刻は表からだけでなく、裏側からまわって見るのも面白い。手で触れてみることも可能だ。表面のひだを指先でなぞると、ひんやりした石の質感が伝わってくる。視覚優先になりがちな「美術」の切り口を、「ふれる」ことは別の次元に広げてくれる。私にとっては、文字よりも「現地・現物」で感じるものが大切だ。

現在開催中の開館20周年記念展では、美術館でこれまで展示された作品や新作が並ぶ。その中で目を引いたのは、手で触れられる「ヴァンジ彫刻庭園美術館」の全体模型「さわる地図」である。

触知図といい、視覚に障害のある方向けに案内用に製作されたものだが、植栽や館内の彫刻までミニチュアサイズで再現されている。凹凸、木の彫り目やすべすべした触感など、目で見るのとは違った体験で楽しい。岡野さんは現在、彫刻に手で触れて鑑賞できる美術館についてのドキュメンタリー映画、「手でふれてみる世界」を製作されているそうで、とても興味深い。

岡野さんは、「第2回ベナン・ビエンナーレ」で出会ったクリスティアーネ・レーアさんの作品の前で記念写真を撮ってクリスティーナさんに送ってくれると言う。

クリスティアーネさんと岡野さんとの交流について、数々のエピソードを聞くうち、ふと普段は日本国内にいても遠くて会えない友人、海外にいてなかなか会えない友人たちのことを思い出す。

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旅は、思わぬ出会いをもたらしてくれる。異なる土地は制作意欲を刺激し、自分をふりかえる時間を与えてくれる。

旅は素敵だ。