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私道かぴ「伊豆急に乗って(4日目)」


朝、荷物をまとめて一階に置く。
ホストの荒武さんが「滞在の前半と後半で異なるゲストハウスに泊まる」という素敵な提案をしてくださって、その交代の日だったのだ。ということは稲取での滞在も折り返しと言うことで、なんともあっと言う間だなあと思った。

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「いま伊豆に滞在している」と言ったら知人が「伊豆に行くから会おう」と言ってくれて、落ち合うために伊豆急行に乗った。
列車が来る前に、駅前の和菓子屋さんに寄る。「キンメプリン」は金魚のような赤い魚の形をしたゼリー?のようなものが乗っているプリンで、そそられたものの移動のことを考え断念、みたらし団子を買う。
奥からご夫婦が出てきて、にこにこと接客してくれた。いろいろとお話したかったのだけど、乗車時間が迫っていたのでお礼を言って店を出る。明日以降に再訪しようと思う。

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来るときは特急踊り子号だったので、普通電車に乗るのは初めてだった。
伊豆急、外観の「鉄」感がすごく、わくわくしながら乗り込む。車内には観光のお客さんらしき乗客が多く、登山の格好をした人もちらほら目に入った。
車内には中吊り広告ほか、色々なところに「伊豆半島ジオパーク」の説明が掲示されている。文字量が結構多い。その説明を読んでいると、窓の奥に光り輝く海が光っているのが見えた。トンネルを抜けるとぱっと目の前に広がる海はどきっとするほど綺麗で、前日の焚火を囲む会の際に参加者の一人が「稲取の景色に毎日感動している」と言っていたことを思い出す。この景色がたくさんの人の心の支えになっているのかもしれないなと思いながら見つめた。
目の前の四人席に、ブロンドの女性が一人で座って海の方を見つめている。そのまつげが時折すーっと落ちていくのが、背後の景色も相まって印象に残っている。

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伊豆高原駅はたくさんの人が乗り降りをして、にぎやかだった。
乗務員さんもぱたぱたと交代をしている。
足湯に入っていた知人と合流し、伊豆シャボテン公園へ。行楽シーズンの休日とあってかバスはいっぱいで、降り立った目の前のすすきの丘のリフトも長蛇の列だった。

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伊豆シャボテン公園は26年ぶりとかそのくらいで、何も覚えていないどころか「なんでこんなにスペイン仕様なんだ」とか「アステカ文明のモチーフが多すぎて動物が全然目に入ってこない」とか「動物を見ようと思って建物に入ったら大量のサボテンをひたすら見せられるのはなぜ」など新鮮な感想が様々に浮かんだ。

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他にもサイケデリックに光るサボテンや、動物のぬいぐるみが待ち構えているレストランなどいろいろおもしろいところがあって、飽きない。全部回りたかったけれど園内がとても広く、時間がないので途中であきらめ、池田20世紀美術館へ。

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…と思っていたら、突然の電話があり、私用で急に帰らなければいけないことになってしまった。ふわふわした現実感のない感じで伊豆稲取駅へ帰り、急遽離れなければならなくなった土地の、数時間前にはのんきに歩いた道を帰った。夕日が驚くほど綺麗で、思わず立ち止まって写真を撮る。
荷物を引き取って駅まで送っていただいた。あまりにも慌ただしすぎて現実感のない最後。

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まだ、まだと思う気持ちは尽きないけれど、それよりもこの期間に何を受け取ったかを考えよう。そう思いながら朝購入したみたらし団子をカバンから出し、しずかに食んだ帰り道だった。

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