坂井存 Zon Sakai 「チューブ男、三島を街歩きする!」(5日目)
三島は不思議な街である。まず飲み屋が多い。
空襲で焼けなかったため、古い建物や路地が多く残っている。道も複雑だ。
JR駅前は再開発が進む。
旧東海道沿いは昔からの個人商店が多い。
チェーン店はあまり見かけない。
三島広小路の駅には、立ち飲み屋もある。
新旧のギャップが激しい町並みである。
この街で最も古いのは、富士山の溶岩である(三島溶岩。約一万年前)。
三島の人は、好奇心旺盛でよく話しかけられる。
「これなんですか?」「なにしてるの?」
「バルーン・アートですか?」「これって手づくり?」「写真撮ってもいいですか?」「路上パフォーマンスでしょ!」「(《重い荷物》と聞いて)わかるわ〜。大変よね、私も鍼に通ってるの!」
この人懐こさが、街道沿いの宿場町だった頃から受け継がれているとしたら。貴重なことだ。
街も人に向かってひらかれている。店の軒先や川沿いなど、いたるところにベンチが置かれ、街全体が巨大な縁側のように、人を受け入れる。
最近では若い移住者も、増えているそうだ。
新旧が交差するこの街で。若者は《高み》をめざし、老人は《深み》をめざす。