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2月2日(木)-5日(日)報告会開催 / 新タコセン引越し / 森町ツアー

2月2日(木)報告会前日

1日の夜、「あさってやっぱり報告会をやります」と野口くんから連絡が来る。以前から街の人に向けて野口くんがなぜ富士吉原で蛸みこしを作っているか、どんなことを考えているかをシェアする場を作りたいという話をしていたのだが、実施日が曖昧になっていた。でも林直輝さんとの対話でリサーチがかなり深まり、野口くんもシェアする制作プランなどの骨子が定まったらしい。

その日タコセンに向かうと、以前より什器やモノが「展示」らしい回遊導線を意識したレイアウトになっていた。

しばらくすると野口くんが昨年「マイクロ・アート・ワーケーション」滞在中に宿泊したゲストハウスのオーナーで、商店街に唐揚げ屋も営んでいる親子のお母さんと唐揚げ屋の看板娘(4)が遊びにきた。お母さんはずっと気にしてくれていたようで、野口さんの説明をじっくり聞きながら相槌を打ったり、わからないところを丁寧に解きほぐそうとする気持ちがこちらにちゃんと伝わってくるような質問をしていた。

看板娘ちゃんはあたりに置かれた図版や石、竹に興味津々。お母さん曰く、この日を境に毎日何度も「蛸みこし!」と口にするようになったらしい。

夜になり、野口くんから告知用のテキストがメッセージで送られてくる。昨日今日はずっとこの告知文を練っていたようで、あまりの充実した内容に、SNSに載せるのはもったいないと感じnoteの記事として公開する。


2月3日(金)初めての報告会

タコセンに到着すると、昨日からさらにレイアウトが変わり、報告会を訪れた人が見まわりやすい空間ができていた。

報告会には衣装制作のテチさんと、昨日もやってきた唐揚げ屋の親子がやってきた。かわいい蛸のイラストを印刷した紙を首から引っ提げた「蛸みこし研究センター所長」野口氏からの挨拶と説明に始まり、最後は全員で天井から吊るされた蛸みこしをやはり服の背に差し込みながらゆらゆらして終わった。

報告会の様子の一部がこちら

野口くんはセンター内にあるものを抜かりなく説明しようとだいぶエネルギーを消耗したようで、次回からは「最初にざっくりした挨拶をする → 参加者に自由にまわり興味あるものを見つけてもらう → それに沿って説明する&話を広げる」という方法を取ることにした。

一旦解散したあと、夜は庭師さんの家ででモダニズム庭園の巨匠、重森三玲の作品youtube鑑賞会をした。お互いの興味があることをシェアしあって「これが面白いんだよ!」と話す時間は本当に楽しく、それが「吉原の地域住民×よそから来たアーティスト」という構図なのがとても嬉しく思えた。

2月4日(土) 新タコセン引越

朝から市外で仕事があったため、出発前の朝9時頃にいったん新・タコセンに寄る。棚は(映像担当の中島さんが横で撮影に徹しながら)朝から野口くんが運び込んでおり、店の前にも出店のように棚が並んでいた。「ニュー88 (パルパル)」が再び商店街の一店舗としてオープンしたようにも見える。

20時頃に商店街に戻ると、中島さんが自家用車に常備していた撮影用ストロボライトが電気の通っていない新タコセンのなかを照らしていた。だいぶ竹の削りかすが溜まり、外にはこれまで写真で見た蛸みこしとはちょっと違う、幾何学的な竹のオブジェが自立していた。明日森町で担ぐ「子蛸みこし」ができあがってる!

以前、中国では「」はアシナガグモを意味する「蠨蛸」に使われているという話を野口くんがしていた。蛸の8本足がクモのようだから「海のクモ」。「蜘蛛はタコになりたがっていた」というストーリー(はどの程度の伝説か生物の進化の過程の比喩かフィクションか記憶が定かではないが)にもつながるし、「子どもが担ぐ用の蛸みこし」ということを考えると、色々としっくりくる。

試しに野口くん、中島さん、リサさんと瀧瀬で2本足ずつ持ってみる。かなり安定感がある。これなら森町の子どもたちもすぐに楽しめそう。
そうしてしばらく付近をちょっとずつ移動してみたりしながら、気がついたら野口くんが道ゆく人、向かいの居酒屋に入店待ちをして外で座ってる人に声をかけて「突撃」していった。明らかに怪訝そうな顔をしながら仕方なくやるような人もいれば、するするとノってくれる人もいて、私は乗り気でない人の表情が脳裏にこびりついて凹みそうになったのだが、野口くんは飄々と様子を俯瞰しているように見えた。その場の状況をうまく乗りこなしているというか、なんというか。

突撃した人々のうち、中年女性のかたが「なんか体の感じがおもしろい!」と言って興奮していた。蛸みこしは体の感覚が面白くなる持ち方ができる時とそうでない時があると感じていたが、このかたはすぐに蛸みこしのツボを抑えたようだ。突撃されて10秒でスルスルと運んだこの状況にちょっと救われた。

しかし安心するのはまだ早い。「オトナ蛸みこし」の最終調整(主に竹包丁を用いながら、しなる程度にちょうど良い細さに削る繊細な作業)がまだ残っていたので、時折おしゃべりしながら、コンビニで買ってきたタコぶつとたこわさとハイボールを片手に作業を見守ったり、時々ものを運んだりしていた。

人通りもまばらな商店街の路面に、摩訶不思議な竹の物体が出現した金曜の夜、いろんな人がいろんな距離感で蛸みこしの傍を通りすがっていった。居酒屋から帰る途中と思しきおじさんが「いいね。おもしろい人は応援するよ」と言って去る。結局私も深夜1時頃までいたが、野口くんは3時頃まで作業をしていたそう。

「おもしろい人」「未知との遭遇」は人のさまざまな喜怒哀楽を引き出す。野口くんは報告会で「蛸みこしをとおして、社会や人間とはなんぞやということを考えている」と話していた。それはこういった、蛸みこしの周辺に起こることも含めての言葉だったのだと、この時改めて知った。

2月5日(日) 蛸みこしツアー@森町

(YCCC 瀧瀬記)