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〈蛸みこし研究センター|富士吉原支部〉研究経過報告会のお知らせ

芸術探検家の野口竜平が、富士吉原での滞在制作の途中経過の発表と、今後の制作の構想などをお話しします。ぜひお越しください。

【日時】
2.3(金)17:30-19:00 -【1】
2.9(木)17:00-18:30 -【2】
2.12(日)15:00-16:30 -【2】

【場所】
【1】蛸みこし研究センター|吉原支部
静岡県富士市吉原2-8-21-2(近藤薬局 橘香堂 / WORX Mt.Fuji ※近藤薬局の隣
【2】新・蛸みこし研究センター|吉原支部
静岡県富士市吉原2-9-26(旧「韓国食品ニュー88」)

無料|日程によって会場が異なります|終了後交流会あり(参加自由)

センター所長よりご挨拶


蛸みこし研究センター所長の野口竜平です。

当センターは、「蛸みこしの制作方法の確立」「蛸みこし活用法の探究」また「それらのオープンソース化」を目指し、3年前から大分県をベースに活動を続けております。

昨年からは、世界各地の竹の利用や技術、世界各地に息づく蛸のイメージや物語、また時代や風土によって変わる人の集まり方、合意形成の方法や知恵をリサーチするため、ご縁のあった土地に期間限定の研究支部をつくり、蛸みこしを実施するというような活動をするようになりました。

そしてこの度、アーツカウンシルしずおか様、吉原中央カルチャーセンター様とのご縁により、「豊岡竹野浜支部」「韓国鎮海支部」につづく3箇所めとなる、「蛸みこし研究センター|富士吉原支部」を設立する運びとなりました。

1月16日からの吉原支部の活動も後半に差し掛かったこの機会に、蛸みこしや当研究センターの紹介、また富士吉原でのリサーチの報告、これからの作品化の可能性について、広く街の人に知ってもらうための経過報告会を開くことにしました。センター内をあるきながら、資料やドローイングをみたり、竹に触ってみたりすることができます。皆様ぜひともお越しください。

※〈蛸みこし〉は、蛸の心身をモチーフに-竹を素材として-8人で担ぐ-ぐにゃぐにゃしたお神輿のようなものです。

報告会の内容(イメージ)

毎朝、コーヒーを買いに外に出るたびに、飛び込んで来る富士山の雄大さに目が覚め、刻一刻と変わり移ろうその繊細な表情にため息を漏らすような富士吉原での滞在は、早くも2週間をすぎました。
今滞在では、吉原に住む多くの方々にご協力いただきながら富士吉原の歴史、文化、風土、精神性にまつわるフィールドワークと、蛸みこし研究を並行して進めています。
日々、吉原ならではの不思議な遭遇と発見があり、それらは思いもよらぬ感じでくっついたり離れたりしながら、中には作品化を試みれるほどに醸成しはじめているものもあります。

イベントの内容をイメージしてもらうため、そのいくつかを雑な箇条書きにはなりますが、紹介させていただきます。

・かぐや姫が生まれたとされる竹林の竹から生まれる蛸みこし(竹取公園とその周辺のリサーチより)

・海から富士山の頂上までのすべての標高を持つ富士市に生まれる、蛸みこしの垂直物語(海の蛸、竹取物語、またSFでの蛸型宇宙人と照らし合わせながら、田村逸兵さんから富士の海山空の経験を聞きながら)

・バラバラなままお互いが表現できる吉原の特異性(気候風土、お祭り、象徴としての富士山、アジール論と照らし合わせながら)

・異界(空の方?)と交信するアンテナとしての竹(吉原祇園祭の竹がふさふさのお神輿と照らし合わせながら)

・凧、蛸旗(幡)、幟、空に掲げー風にたなびくタコと竹(なんでも鑑定団・林直輝さんに導かれつつ)

・吉原祇園祭における22町内の太鼓のなまり、その伝承(蛸みこしの伝承を考えながら)

・文房具屋の解体でもらった大きな棚と、それを運ぶ際に生じた移動の軌跡、動きのノーテーション(瀧瀬彩恵さんと蛸みこし舞踊譜への発展の可能性を考えながら)

・静岡県全体の蛸みこしツアーを行う(森町、三島、東伊豆)+5箇所検討中(蛸公園など)

・蛸みこしを燃料に、富士山型のぼり窯と富士山の土でつくる、蛸壺の土器(陸と海をつなぐアンテナとして)

別の土地から来たよそものが、日々いろんな吉原と遭遇しながら、経験したこと、教えたもらったこと、調べたことなど、勝手に解釈し繋げて空想し、自分勝手になにかをつくろうとしている。というような感じイメージをしてもらうとちょうど良いかもしれません。

どこかでピンときた方がいましたら、是非是非お越しください。色々話しましょう。

「おもしろい人に会いたい !!2023」に向けて

ここでの1ヶ月の成果は、蛸みこしとその制作研究にまつわる物語と作品群として、3/12(日)にグランシップで実施される、アーツカウンシルしずおかの企画イベント「おもしろい人に会いたい !!」にて発表される予定です。さらにここでは、蛸研究の大家である琉球大学・池田譲教授と、自立協働社会を予告/実践するコクヨ ヨコク研究所・山下正太郎所長とのトークセッションもあります。「蛸」「協働」を専門にご活動されているお2人と、まさに蛸みこしのテーマである「蛸をモチーフに人間の社会を考える」ことができることを嬉しく思います。蛸みこしの可能性を受け止め、蛸への問いと、人間への問いと、アートへの問いを、より社会実践的な態度でつなげる企画をつくって下さったアーツカウンシルしずおかの皆さんにとても感謝しています。

余談になりますが、実は私は、蛸みこし研究センター所長になる前から、自転車、リヤカー、ヒッチハイク、タイヤひっぱり等で放浪し-突如現れては周りを騒つかせて立ち去る-どこぞの馬の骨を繰り返し、よそものと、アートと、地域社会のハレの場の関係について、ちょっとづつ何かの手応えを感じながら考えてきました。

イベント「おもしろい人に会いたい !!」は、「現代社会のローカルなお祭り(生き生きとした場)」を探る術としてのアートの可能性についてを、作品ではなく、生きた現場の実践ベースに紹介することから、(なんとなくおもしろそうだからやってみようかな・・)と思える人を少しでも増やし、そういう人の最初の一歩を後押ししたいというアーツカウンシルしずおかの切実な想いから始まっています。

馬の骨としての私としても、アーツカウンシルしずおかとの出会いのきっかけでもあった、「マイクロアートワーケーション」の、よそもの表現者とローカルな現場の遭遇にまつわる全ての可能性を受け入れるような態度にとても共鳴しましたし、今回お声がけいただいた時から今までにいたるまでの協働の過程も、「今の静岡こそが、日本の風土に根ざした祝祭型アートプロジェクトの一つの到達点で最前線なのではないか」と思える程ので真剣な柔軟な試行錯誤がつづいています。

そんなイベントに向き合う
富士吉原での滞在制作の途中経過の発表と、今後の制作の構想などをお話しします。ぜひお越しください。