見出し画像

オーシャンビューのお部屋のおかげで起きてすぐに朝焼けをみることができた。
眠気と戦いながらなんとか朝方色の採取をおこなう。稲取へ来たら自然と朝型人間になるかなと期待していたが、甘かった。

画像1

まえだ苑の朝食はそれはそれは美しく、もう食べる前から満たされた気分だった。
昨晩の御飯の雰囲気とはまた違って、黄色を基調に淡くて様々な形をしたお皿が綺麗に並んでいる。わたしは砂浜で貝殻や小石やガラスの破片を拾ってきては机に並べて楽しむという趣味を持っているのだが、この食卓をみていると、そのときに感じる高揚感が蘇る。なんとなく大事なことかもしれないなと思ったので、写真は撮らなかった。こういう漠然とした印象は写真に撮ったりそれをあとから見返すことで薄れてしまうようなことがよくある。スケッチしたり、文字にしたりして、別のルートで記録と記憶をしておかなければいけないなと、この文章を書きながら痛感している。
旅行先や出張先ではいつもと違う感覚器官がひらいているというか、やはりいろんなことに敏感になる。土地を移動したり、拠点を増やしたりすることは、自分にとってはいいことなのかもしれない。

画像2


稲取にはみかんがそこら中にあって、今まで宿泊した宿のロビーには必ずフリーみかんが置いてあるので、特にみかんに飢えていたという訳ではないのだが、きっと一人でみかん狩りをする機会なんて一生無いだろうと思い、せっかくなのでみかん農園「ふたつぼり」へ行ってみた。
この一週間、稲取でみてきたフリーみかんの共通点として、とても小さい!ということがあったので、小さめのみかんを狙ってとることにした。
壮大な景色を見ながらたったいま自分でとったみかんをたべる。かなり美味しい。でも自分で育てたみかんだったらきっとさらに美味しく感じるんだろうな。みかんを育てる気はないが、わたしはとにかく何かをつくりたいのだとおもう。強欲な人間である。

画像3


最後、ホスト役を務めてくれた荒武さんたちにご挨拶をする。感謝の気持ちはうまく伝わっただろうか。
去り際 悠衣さんが両手を挙げて手を振りながら「あ、終わったぁ」と呟いたのが忘れられない。それは「あ、晴れたぁ」とか「あ、飛んだぁ」とかそういう感じの、何かを目撃した時に発せられるような類いのものだった。
こうしてわたしの「旅人」が終わった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?