タカハシ 'タカカーン' セイジ「1000」(滞在まとめ)
1000字、書いたことない。
今回、応募しておきながら最も不安だったことはこの最終レポートのことだった。
もしかしたら、参加できることになってからうっかり知ったことかもしれない。
1000字。
1000という文字面に圧倒しているのかもしれない。
もうここまでで125字。
「ここまでで」という文字までで125字。
もしかしたら、1000字書いていたかもしれない。意外といけるかも。
だけど、1000字書いたかもってその時は、よぉし1000字書くぞ!とは考えていない。
ぼくはあらかじめ結果やボーダーみたいなものがあると手から力が抜けていくらしい。
そんな僕でも、どれだけ力が抜けたって、熱海では迷わなかった。
ひとりしっぽり呑んで、呑みすぎた夜、コインランドリーを目指し歩いた。同じく海の街神戸(宝塚は海の街ではないな)の友人と電話しながら。
もちろん初めての土地、大体の方角は頭に入れておきながらだったが、難なくなんとなくでたどり着けた。
お店も時期が時期だからほとんど閉まって暗かったのにね。
そして、方向音痴なぼくが迷わないぜという自信がなぜあるのか。それは温泉への道のり。
3回?2回?(あ、1回はちょうど昼休憩中だったから行ったのは3回だが、入れたのは2回だったな)とも全て、ほぼ同じ時期に滞在した青木拓磨さんと行ったのだが、だべりながら、トーク音声を録りながら。ぼんやりしながら。これをネットラジオ、ポッドキャスト化したのだが、したのだがって青木さんが完全に全てやってくれたのだが、絶対に迷わなかった。それは、足が憶えていたのだ。寝起きだったりしたのに。朝風呂はパワーがみなぎったな。いれたてやからかな。話は変わるけれど、青木さんがいてくれたからのこの滞在の安心感はすごかったな。めちゃくちゃナチュラルに語らった。青木さんと話していると自然と言葉が湧き上がってくる。ミューズか。
熱海の起伏ありすぎる道々。
ここ2年ほどが京都市内に住んでいるからか、ほぼ平坦な街、床と呼んでいいほどのひらたさ。盆地。なんとなくどの山も同じに見える。パックマンだって目を瞑ってももしかしたらできるのかもしれないが、なんか面白いひっかかりがないのだよね。まっすぐの道だけあるのは退屈すぎて、たまにずどんと抜けるから気持ちいいんだよなぁ。
熱海は、山と海にぎゅっと挟まれた街だけれど、それにも増してうにょうにょと坂道が水が流れるように分かれ、つながり、また分かれる。角度を足が感じ、こっちだと言う。
この感覚がとてもうれしかった。
自分の体なのに、喜んでいる感じが伝わってきた。にやけたのを憶えている。(1076字)
「(1076字)」までで1083字。