澤田守秀「どーん！ (3日目その3)」

ベッドに入ってから、今日のサイクリングの間ずっと聞こえていた大砲の音を思い出して、眠れなくなった。
あの音は今日一日中、ぼくの波長を乱していた。
集中力を奪われ、ミスも誘発された。

御殿場には自衛隊の基地も米軍のキャンプもある。
街から南下すると大砲の音が聞こえてくる。
交流会の日にも、御殿場がそれらの基地のおかげでどれだけ潤っているか、そして、その事を忘れている人がいかに多いかなど、話してくださった方がいた。
安易にその是非を問うつもりはないが、音楽をやる者としてあの音は無視出来ない。

世界のどこか、あの音が鳴っている場所で起こっている事を想像したら、体が小刻みに震えた。
神経に触れる感覚だったが体は疲れていた様で、いつしか眠りに落ちた。