市川まや(龍山町3日目3/11)「春が来た」
うぐいすの鳴き声で目が覚めた。今年は遅いねという話をしていた矢先だった。朝風呂を頂く。ゆっくり入って温まったところに窓をあけると、まだ冷たい風がさっと入ってくる。窓からは木々が見える。なんて贅沢な時間だろうか。
朝食後、ホストののぞみさんの茶畑に案内してもらう。あるところまで来ると、車を降りるように促される。そこに、肥料が積まれている、運搬用のっ機械があった。のぞみさんはその持ち主に電話をかけ、肥料をひょいひょいと降ろし、「この上に。」
どうやら、人間がそこに乗るということで、電話をかけた相手はのぞみさんのお母様だった。驚きつつも、前日の軽トラのアトラクション等、ここの日常の特異さを再び感じる。カマを片手に、エンジンをかけるのぞみさんは、普段のおっとりした彼女からは想像もつかない姿だった。
茶畑の頂上で、「ドラゴンママ」という食堂で買ったげんこつアメを食べる。お茶を飲む。景色を眺める。山々と緑色に光る天竜川。ぼーっとするだけの時間。のぞみさんは子供のころ、ここでよく笛を吹いていたそうだ。
帰りにしいたけを採った。帰りは「上を見るとおもしろいよ」と教えてもらい、仰向けになって木々を仰ぎながら下った。木が根っこのように見えたり、葉っぱと葉っぱの合間から見える日差しを感じる。
降りると千陽さんが待っており、のぞみさんがシダ植物を使った遊びを教えてくれた。紙飛行機のように飛ばす。葉っぱをもいで、真ん中を押してカエルのようにびよーんとジャンプさせる。山の遊び方をたくさん知っている。
のぞみさんは肥料をまた茶畑まで運びに行き、千陽さんと私は撮影に行く。
今回、地域の方々との交流が難しくなってしまったので、龍山で踊る映像とGoogle mapのピンになってみるという写真撮影と Global Water Danceという水をテーマにしたイベントのための映像を撮影しようということになった。
まず、森林文化会館で雨の日の場合ここから撮影できるのでは?という下見をしに行った。のぞみさんのお母様と、川道さんにも遭遇。ここは大きく天竜川が感じられ、雨の時は靄が出るというのだが、晴れているときの水の輝きもよかったので、まずここで撮影しようと決める。
その前に、再び「ドラゴンママ」で腹ごしらえ。五平餅と味噌こんにゃくおでん。味噌×味噌の組み合わせになってしまったが、美味。
森林文化会館で衣装をあーでもない、こーでもないと、千陽さんに相談しながら、彼女の服を結局貸してもらい、着替え、撮り始める。
日差しが暖かく、風が穏やかに吹き、気持ちがいい。
そこから、初日に案内してもらったいくつかのポイントに行く。
彼女にもカメラを渡し、お互いを撮りあい、長靴を履いて川を渡り、砂利を歩き、水に足を漬け、ポイントを変え、指示を出し、どんどん撮っていく。
本当に天候に恵まれた。途中からは薄手の衣装のままで過ごした。撮影した映像は後日、編集してアップする予定だ。のぞみさんのお母様にいただいた桜餅と牡丹餅を食べる。びっくりしたのは、私は全くの小豆(特に甘いあんこ)が食べれなかったのだが、千陽さんより早く、そして美味しく平らげてしまったのだ。これが特別に上品であともう2つくらい食べたくなった。
その後、3月12日に大学の同期が主催する公演が浜北であるため、下山。送っていただく。到着の時間にゆとりがあったので浜松市秋野不矩(あきのふく)美術館に寄って行く。靴を脱いで見るという体験。建物が木でできており、温かいつくりになっている。不矩さんの絵は、今は行けない海外の、空の色が美しい絵。二階は市民ギャラリーになっており、地域の80代の方のメルヘンで絵本のような世界観の絵が飾られており、絵のタイトルの下にいちいちコメントが書いてあり、ほっこりした。
浜北に降り立つ。コンビニがあり、劇場があり、リハーサルしている久しぶりの友人に会う。
これも、非日常で、自分がいま何処にいるか分からなくなった。
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