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旭堂南湖「大事なこと」(5日目)

私が河津町に来たのは、河津三郎とその息子、十郎、五郎の史跡を訪ねること。

河津三郎が殺されて始まり、息子が父の敵討ちをして終わる、曽我物語。

河津町でこの地元の物語がどれぐらい浸透しているのか。

多くの人々に、曽我物語が忘れられている今、河津の皆さんに、曽我物語を知ってほしい。

講談には長い長い曽我物語があります。

その魅力を伝えたい。

そんないくつかの思いを胸に河津町にやって参りました。

宿泊したのが「禅の湯」。

慈眼院という曹洞宗のお寺の、とてもオシャレな宿坊です。
三泊しました。
源泉かけ流しの温泉があって、露天風呂も岩盤浴もあります。とてもいいお湯です。
お料理も美味しくて、スタッフの皆さんも親切で、笑顔も素敵でした。

女将さんとの会話の中で、私の風貌や佇まいから、お坊さんと思われていたようで、
「いやいや、そうでなく講談師です」
と伝え、15日開催の「講談と怪談」@バガテル公園のチラシをお渡しすると、私の着物の紋に着目され、
「この紋は何という紋ですか?」
「覗き梅鉢です。梅鉢が覗いているんです」
「この寺は梅鉢の紋なんですよ。実は」
と女将さんが語り出した物語。

日米修好通商条約を締結したハリス

江戸時代に、この寺に泊まったことがある。外国人だから椅子に座りたい。江戸時代だから椅子がない。お坊さんが座る曲彔(きょくろく)がある。それに座った。曲彔には梅鉢の紋。位牌もある。

との驚愕の事実。ハリスの座った曲彔を特別に見せて頂くことになりました。


さらに驚くべきは、本堂の天井画。


一宿一飯の礼に旅の絵描きが描いた龍。
あるお婆さんは、子供の頃に、太い筆にたっぷり墨をつけて、絵師が天井に向かって龍を描いているのを見たことがあると、語っていたそうです。


講談には、左甚五郎など、泊めて貰ったお礼に作品を残す逸話がよくありますが、実際にもあるんです。
講談もまんざら嘘ばかりではございません。

素晴らしい龍の絵は御朱印にもなっています。

雨漏りで傷んでいる部分があり、修復の費用を集めるために、クラウドファンディングをする予定もあると、女将さんが仰っていました。

さて、河津中学校へ。
中学校で講談体験の特別授業。全校生徒170人程。

体育館で、クラスの代表12人の生徒に、講談を実際にやって貰います。
張り扇をパンパンと叩きながら、リズムよく語ります。
大きな声で、講談ができました。
観客として、聞いている生徒は、大きな拍手で盛り上げます。
拍手はとても大事です。
先生にも講談をやって貰いました。
曽我物語も一緒に語ります。


そして、講談鑑賞。
静岡県にちなんで、徳川家康とお茶の講談。

最後に、生徒に大事なことを伝えます。

人生山あり谷ありで、ずっと順風満帆とは、なかなかいかない。
落ち込んだり、悲しい経験をするかもわからない。
そんな時に、再び立ち上がる、前を向く勇気をくれるものが、文化・芸術ですよ。
講談も文化・芸術の一つです。
これからも多くの文化・芸術に触れて下さい。

河津町には、素晴らしい歴史があって、その歴史の物語にも興味を持ってくれたら嬉しいです。

「一富士、二鷹、三茄子」。
この意味は、多くの方が思っていることとは違う。
河津で生まれた十郎五郎の曽我物語が、一富士なんですよ。
私が伝えたいこと、大事だと思うことを、心を込めて語りました。

河津中学校の皆さん、一緒に時を過ごすことができて、嬉しかったです。
有難うございます。

また、この特別授業は、河津中学校の校長先生、先生方。
河津町役場の皆様。
Working Space Bagatelleの和田さんのご尽力、ご協力のお陰で開催できました。
有難うございました。
感謝申し上げます。

いよいよ明日です。


1/15(土)に河津町で「講談と怪談」のイベントがあります。感染症対策をして開催します。
十分なスペースで、ゆったり鑑賞できます。
お越し下さい。


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