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天竜四季の森「MAW振り返り – まだまだ戦える」

「龍山に来て、満足していただけるだろうか」


最初に抱いた想いです。せっかくなら龍山だけを訪れていただきたいところですが、旅人の皆さんのことを考えると、周辺地域も巻き込んだほうがよいのではないか。そもそも龍山には、宿泊施設もないのですから。


杞憂に終わりました。


龍山は、まだまだ戦えます。







人口500人、65歳以上が約70%。森林が94%を占め、集落が小さな規模で散在しているのみです。林業が住民の生活を支えてきましたが、近年の社会経済構造の変貌から、低迷。学校がないため、若い世代はいません。信号もないんですよ!


あるのは、豊かな自然と天竜川。元気なおじいちゃんおばあちゃんたちもいます。あとは、、、。




木こりの宮嶋さん。30代の人柄のよいお兄さんです。林業を学校のこどもたちに伝える活動もしており、話が非常にわかりやすい。アーティストとして訪れた楽器制作の長谷部勇人様は、チェーンソーで木を切り倒す体験もされました。昼食はバーナーとメスティンを取り出し、その場で飯盒。かっこいい。チェーンソー体験と昼食があれば、大満足なコンテンツができあがると確信しました。

その場で採ったしいたけも焼きました。


瀬尻ぶか凧保存会の宮澤さん。山々の間を雄大な天竜川が貫き、手前には茶畑。龍山イチの絶景スポットにご自宅を構えています。「道楽部屋」とおっしゃる建物には、実物のぶか凧や写真が数多く展示。ダンサーの市川マヤさまはそこでポージングをし、写真撮影されました。凧の絵柄がカラフルで、どこか味があり、映えるんです。

私も挑戦!(笑)





猟友会会長ミツさん。「猟師の方々が普段歩く山道を案内してほしい」という依頼をしました。自分でもびっくりするくらいざっくりとしたあいまいなお願いでしたが、こころよく承諾。2時間ほど、難易度もちょうど息もあがりテンションもあがるようなコースを選んで先導してくださいました。鹿の糞やイノシシの足跡など微細な痕跡をさすが、少し歩くだけで見つけ教えてくれます。

猟師と我々では生きている世界がまるで違う、はっきりと実感として得られました。



そのほかにも、森林組合のみなさまには、木の特性や伐採の様子を現場にまで連れていって説明してくださいました。


ドラゴンママのみなさんは龍山の数少ない食事処として懸命に活動されています。写真もめっちゃかわいい!


高橋建具店のかっちゃんさんの豪快に笑う姿はとても素敵。道具をひとつひとつ細かにおしえてくださり、感化された私はさしがねとのみを購入予定です(笑)



白倉木工のクラブのたかおさんは四半世紀前に10名ほどで創設された木工所を、なんとかしようと奮闘中(わたしも一緒に取り組んでます!)


秋葉神社権禰宜の佐奈さんは、休日に龍山の最奥の地にある白山神社も兼務。「この場所をずっと守っていきたいという想いでお仕えしている」と静かながらも力強いお言葉をいただきました。



龍山は、限界集落なんかじゃない。まだまだ戦える。まだまだできることがある。



今回、MAWに取り組んで、本当によかったです。アーティストのみなさんの日々のリアクションや毎日のnoteに、どれだけ勇気づけられたことか。


MAWのHP、「表現活動が生活の一部であるアーティストにとって、行く先々で得られる情報や経験の一つひとつは大事な資源となります。 アーティストは取り入れた情報を作品にしていく過程で、新しい視点を見出し、まだ可視化されていない価値を提示したり、私たちが予期せぬ問いを投げかけます。 時に、その姿勢に心動かされる人々が現れ、新しい化学反応を起こすこともあります。」が冒頭。


今回、かたちとしての成果物は求めない、ということでした。化学反応?非常にふわふわしたプロジェクト。一般の感性とはきっと違うみなさんが、こんな田舎にきて、しかもなにかつくるわけでもない、、、


化学反応とは、その土地に来てくださったアーティストや向かい入れた地域の人々の中に起こるものでした。それは気持ちなのか、誇りなのか、意思なのか。言葉にすると稚拙に感じてしまいますが、今回のMAWでは、そこに気づくことができました。「龍山、すげえだろ!」と。




地域おこし協力隊として、龍山が大好きなみなさんとともに、一緒に笑顔をつくりあげてまいります。




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