関根愛「無題(ある朝)」(7日目)
十二月六日、曇り。少し風。
宿の部屋が駐車場に面している。車のエンジン音で目が覚める。昨日は防災訓練のアラーム。その前は宿(シェアハウス)の住人の方の足音。信号の音。大型トラックの走り抜ける音。目を覚ますのに、あちらからこちらに戻ってくるのに、この世にはあまりに沢山の契機がある。いつだって戻ってこられる。戻りたかったら。
答えのないことを考える、というより、思い続ける。それが私にとってのこの世での幸せなんだと思う。そして思ってもみなかった人たちに出会えること。それがなかっ