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Go to Alone, Sing Alone

 もう随分と長いこと、カラオケに行っていない。

 カラオケの楽しみ方は人それぞれだと思うが、わたしはとにかく「歌唱」のためだけに行きたい人間だ。
 だいたい1人か、多くて3人くらいで入り、10分前のコールが鳴るまでノンストップで歌い続ける。飲み会の後に大人数でぞろぞろ行って、最初の1曲が始まるまでに何十分もかかるカラオケは好きじゃない。

「Go to ナンチャラ」みたいな制度をやるんだったら、ぜひとも「Go to Alone」だって欲しかった。そうしたら1人カラオケだって自粛しないで済んだかも。
 今ではだいぶ複数人で集まることも許されるような空気がある。それでもわたしの感覚だったら、マイクを使うカラオケはまだ、たとえ1人でも躊躇するのがほんとのところ。

 だけどわたしは本当によく歌を歌うし、歌が好き。

 高校時代、1人で通学している道中、自転車で。家事の手伝い、お風呂掃除のフリだけしながら浴室はライブ会場だった。受験勉強、右手は数学の問題を解き、口では英詞をつらつら綴った。

 1人暮らしになった今では、本気で歌うわけにはいかない。苦情が来ない程度の歌唱に抑えなくては。だからこそカラオケが大事なのだが、行けないことには仕方あるまい。
 3ヶ月前、先延ばしにされ続けていたがようやく参戦できたライブも、オーディエンスは一切声を出してはいけない決まりがあった。歌って然るべきな空間で歌えないのは心苦しい。

 いつになったら誰もが自由に歌を歌える日が来るのかな。もしかしたらもう、そんな世界は2度と戻ってこないだろうか。

 歌を歌うのを躊躇するたび、歌詞にもならないほど「当たり前」の日々の尊いところを感じる。夏になるたび歌いたくなる、エモい夏うたプレイリストを作り始める。


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