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愛のしるし

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たくさんの「スキ」をもらった文章。下のほうにも良いやつがたくさんあります。
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#夏

幕間のうたた寝

 そもそもこうしてnoteをひらくこと自体が久しぶりである。8月10日の更新以降、この場所は少し夏休みをとっていた。  きちんと検査をして、マスクをして、消毒をして、新幹線の中から夏の雲を眺めて、実家へ帰省。  普段のひとり暮らしと違ってそれなりに賑やかな中、自分の内側をひらいてツラツラ何かを書き記すのは、正直難しいと判断したわけである。  今も、そしてあとしばらくもまだ故郷にいるけど、それでも書こうと思ったのは本当に気まぐれだ。昨日配信、ヨルシカの新曲「老人と海」を聴い

暑いよ、だから好きなんじゃん

 どこもかしこも、紫陽花の花は錆びた枯茶にしぼんでいる。鮮やかだった青い花弁が真昼の宇宙に全部吸われてしまったみたい。  夏はつねづね極彩色だ。電線と空、空と白雲。彩なき色とのコントラストがパキっと綺麗に映えている。  花も緑も青に負けじと生き生きするから、ぼうっとしてるとわたしのほうが乾いて干からび、先にくたばるかもしれない。 「どうしてわざわざ1番暑い時間に外へ出かけるのか」と尋ねられたら、その時間にふと出たくなるから、そう返す。炎天の下を宛てなしにただ散歩するとき、

雑記:夏の逍遥

 人差し指を突き上げたなら、そのまま夏色を穿てそうな青天だ。こんなに天気の良い日は散歩がしたくなる。  今日着る服や傘の携帯、出かける時間を空の目視で決めるわたしに、気象予報士は必要ない。「東京都心は今年1番の暑さです」など、どうせひと月もしないうちに更新されるに決まってる。  道路に出るとこれぞ梅雨明け、ようやく夏の気温が街に熟れていた。涼しい場所から出た瞬間の “もわっ” としているあの感じ、あれを好きだと思える仲間はほかに何人いるだろう。  夏が「ようこそ私の中へ」