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「好きな人ができない」 昔のクラスメイトがしょっちゅう言っていた。わたしも今ならあの子の気持ちがよく分かる。こんなことは初めてだ。4歳の初恋から一昨年の秋まで、過去に1度も絶やした時期などなかったのに。 確かにできないね、好きな人。 何を以てわたしは誰かを好きになるんだ。どういう瞬間ぎゅっと心を掴まれるんだ。恋をしている間の自分は一体どんな感じだったか。 人を愛する微熱を失くしてもうすぐ2年、それがなかなか心に戻ってきてくれない。 このままじゃ恋のしかたを
突然ですが、付き合う相手にぜひとも揃っていてほしい条件を3つ挙げてみよう。 まず1つ目は「わたしが素を出せること」。家族や親友に対するときと同じ感じで好きに話せて、わざわざ “デート用の服” とか準備せずとも気軽にラフに会える人。 2つ目は「一途でいてくれること」。別に好き好きオーラ全開のゾッコン・ベタ惚れじゃなくても良いが、異性として目を向けているのは常にわたしだけであってほしい。 その点について信用できる相手であれば「幼馴染の女の子とメシ行ってきます」も承諾で
昔は髪が長かった。確か胸の先くらいまでは伸ばしていたんじゃないかと思う。真っ黒くて我ながら綺麗にゆらゆらとうねるくせっ毛。仲の良かった若い女の先生は「私、橘に憧れてるんだ」と言って、天然じゃないパーマの髪をファ、と揺らした。 自分でもすごく好きだった。だから突然ショートにしたとき、クラスメイトにさぞかし驚かれたのは今でも覚えている。 でも何ていうか、思い出してみて自然と頬が緩むのはやはり当時の好きな人の反応。後ろから「え?」と声がしたかと思ったら、急いで前にまわりこま