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奇跡という言葉はあまり好きではないが、明日があること、生きてることは奇跡なんだなって

山本文緒『無人島のふたり』

なんというか、なんとも言えない。
それは良いとか悪いとかじゃなくて、読み終わって頭がぼーっとするような気持ちになった。

先週ぐらいに最初の方だけ読み、昨夜この本の続きを何も考えずに読んでいた。休憩は挟んだが、気づいたら深夜の2時半だった。

この本がどういう本かは調べて知ってほしい。

あっという間に読んでしまったが、山本文緒さんが体感した時間は長いように思えた。思っている以上に相当苦しかったようにも思う。そして死をこわく思った。同時にこの本を読み終えた途端、こんな、ふと終わってしまうものなのかと悲しくも思った。

山本文緒さんの本を今年になって初めて読んで、まだ何も知らないけれど、『再婚生活』もまだ読めてなかったけれど、この本を読んでいて他人事のようにはあまり思えなかった。それは見た目だったり、うつ病になったという点(まだ再婚生活をちゃんと読んでないからわからないけれど)なんだかとにかく他人事には思えなかった。

死ぬまでにやりたいこと、ちゃんと書き出して、やろうと思った。今の私はやらなくてもいいことまでかいてしまいそうだけども。とにかく書いておこう。

前にYouTubeで又吉直樹さんが本の装丁などについて話している回があった。
本を一番最初に開いて、そこにある紙が何色か、どうしてこの色なのか、じっくり考える話をブッコローというフクロウの人形と話していた回をふと思い出した。
この本を開いてみると、淡い薄い水色の紙だった。タイトルと名前が書かれたところだけ黄緑色のような色の紙だった。最後はまた水色の紙。私はふと、この水色の紙が『空』を表していて、タイトルと名前が書かれた黄緑色の紙が『島』を表しているのでは、と思った。考えすぎだろうか。でも私の頭の中にいる又吉さんなら「それもありやな」って言ってくれそう。
山本文緒さんの本なのに、又吉さんが出てきてしまった。すみません。

私は本を読むペースが遅いのだけれど、稀に年に何回か一日で読み終わってしまう本がある。この本もその一冊だった。元々、この本がどういう内容の本だったか知って買ったので、覚悟もしていたし、自分が入院してる時にお守りがわりに読もうとしていた。けど、今読んでよかったのかもしれない。これを読んだ後ではそう簡単に死にたいですなんて言えない。私はうつ病だから仕方ないにしても、この本を読んだわずかな時間は死と生に対して向き合った、いや向き合わせてもらった貴重な時間だったと思う。またいろいろと忘れちゃいそうな時、消えたくなったらこの本をまたじっくり読もうと思う。

2023/09/13

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