工事計画表の簡単な作成方法
1. 管理組合の日々の業務の中で、表計算ソフトを使う機会は意外に多い。予算や工事の見積もりなどがそうである。大きい表としては長期修繕計画があり、これは修繕計画(コスト計算)と、積立金計画(資金調達計画)をそれぞれ作成して、その差額を年度毎に計算することによって成り立っている。赤字にならないように考えていく行く基礎だ。
私は、これまで3回長期修繕計画を見なおした。初回は、築6年(2007)、第1回の修繕積立金値上げ(60円 ―> 90円)の時である。このときは、まだまだ素人だったので、(今も素人だが)、30年計画しか立てられなかった。
2回目は、大規模修繕が終わった築12年(2013)である。このときは50年計画とし、積立金も50年まで均等(90円 ―> 291円)とした。
3回目は、築17年(2018)である。上記50年計画を見直し、60年に延ばしたのである。積立金の値上げはない。
見直しのたびに、工事項目や計算ロジックが精緻になっていき、表が大きくなっていく。シミュレーションしやすいように改造する手間も増えるが、改訂経験から得た物は大きい。すべて語るのは大変だが、今回は汎用的な部分について、記事としたい。
2. 今回紹介するのは、修繕計画の簡単な作り方である。といっても、
1)工事項目;
2)単価;
3)数量;
4)工事頻度
などの諸元を考えるのではなく、これらを所与として、
a)どういう頻度で各工事を修繕期間に配置するのか;
b)シミュレーションを楽にするために仕掛けをどうするか
を楽にできるように実装した計算シートの作り方である。どちらかというと、表計算ソフト(ナンバーズ)の使い方テクニックである。
ちなみに、私は還暦過ぎてPCもろくに使えないロートルである。表計算のマクロも使えない。そんな私が編み出した方法であるので、初心者にもわかりやすいと思っている。
3. 閑話休題。修繕計画というのは、縦に修繕工事の項目(大項目、中項目、小項目:マンションの規模や設備にもよるが、100項目を超えることも珍しくない)が並び、横には工事年度(竣工から60年程度が普通)がならぶ。下の表(Fig.1)は、説明のための簡単なサンプルで、工事項目は2項目、工事予定期間は10年という設定である。
Fig.1
4. 工事については、それぞれ単価と工事周期(何年ごとに実施するか)を示している(セルで言うと、B5:C6)。この単価を、工事周期毎に配置していくのだ。A5セルにあるタイル工事で言うと、単価200を3年ごと、インフレ率を加味して配置していけば良いこととなる。3年たったG5セルには、B5*G3という計算式が入ることになる。続いて、6年たったJ5には、B5*J3という計算式が入ることになる。こうして埋めていくのだ。
「なんだ簡単な作業だな!」と思わないで欲しい。60年間3年ごとの工事なら20回、これを100項目に渡って入力するとなると、2,000回の作業である。とてもじゃないが初期入力だけでも大変だ。1回の入力で済むのなら、力仕事でやると言うことも可能だが、資金側をにらんで工事単価や周期を変更することは良くあるのだ。
5. 例えば、シール工事を周期4年から5年に変更する(Fig.1とFig.2のC8)と言うことになれば、これまで4年ごとであった入力を削除して、5年ごとにして式をコピーしていくという作業が発生する(Fig.2参照)。数式の消去は1回でできるとしても、入力は60 ÷ 5 = 12回発生する。同様の修正を10項目すると、120回の作業だ。
Fig.2
最適解を求めてシミュレーションは何回も行うので、1回だけにとどまらないのが普通だ。これを「自動化したい」と思うのは当たり前である。ではどういう式を、何処に入れれば良いのか?
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