法律関係者が書く文章の特徴は色々ある。そのうちの一つとして、「1文が長い」というのがあげられる。時には10行くらい連なっていることがある。これは改めるべきだろうなあ。

ちなみに、英文でも同様の傾向があって、A4の1ページが一つの文というのを見たことがある。

余程慣れていないと、全体を一度に頭に入れるのは難しい。いろんな条件や留保事項をつけるから長くなる。専門家以外には、短い文章を重ねて行くハードボイルドな文体(以下、「ハードボイルド方式」と言う)の方がわかりやすい。

管理組合規約に関しても同じ。規約本文も解説も短い箇条書きの方が読みやすい。もちろん、箇条書き間の関係を明確にしておかないと、あとで解釈が別れる可能性がある。

長い文章だと、どの単語がどの単語を修飾しているのかがわからなくなる。これが争いの元となる。

私も昔は長い文章を書いていた。しかし、最近では短い文章を積み重ねて行く方が良いと考えるようになった。長い文章を書く訓練を受けてきたので、最初は馴染めない。しかし、試みる価値はある。

文章の長さは読みやすさと共に、論理の一貫性を図る物差しとなると考えておきたい。短文を連ねると、関係性があやふやになりやすいからだ。

実例を挙げてみよう。専門員会が解散する場合の規定である。最初の例は、伝統的な記載方法である。一読してちゃんと理解出来るだろうか?

「委員会は、理由の如何を問わず、理事会が解散を決議した場合、特定課題の調査・検討を完了した場合、または特定課題の調査・検討が不要となった場合に解散する。」

これをハードボイルド方式を用いて、書き直してみよう。

委員会は,以下の場合に解散する。
 (1) 特定課題の調査・検討を完了した場合;
 (2) 特定課題の調査・検討が不要となった場合;または
 (3) 理由の如何を問わず,理事会が解散を決議した場合

後者の方が読みやすいのは一目瞭然だろう。特に「理由の如何を問わず」がどの部分(「特定課題の調査・検討を完了した場合」、「特定課題の調査・検討が不要となった場合」、「理事会が解散を決議した場合」)を就職しているかと言う関係性が明白となる。論理的に考えると、前者でも「理事会が解散を決議した場合」のみにかかると言う解釈は可能。むしろ、法的な訓練を受けた日尾にとってはそれは自明だと思う。

しかし、世の中専門家ばかりではない。非論理的な解釈をする人は得てして声が大きい。迷惑千万なことは、最初から封じておくべきなのだ。

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