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魚の第六感(シックスセンス)について追求



1. 序論 魚の第六感(シックスセンス)

今回は魚の第六感(シックスセンス)についてです。魚には人にはない感覚、いわゆるシックスセンスがあります。その魚のシックスセンスのうち捕食本能や防衛本能から身についた研ぎ澄まされた感覚の一つ、特別な視力である線視力について取りあげたいと思います。

線視力とは、名前の通り、線(ライン)を視認する能力のことです。単純にものを視認する力とは別にラインを視認する力が魚には備わっていると言われています。これは、釣られるたびに魚がラインを理解するようになり、身についた防衛本能と一般的には言われていますが、何故このような視力が魚にはあるのかは真相はわかっていません。ただ、魚は目の中の水晶体(レンズ)を網膜に近づけたり、遠ざけたりすることで視覚の遠近調整ができるようです。

Wikipediaにも魚の視力について記載がありますが、赤外線が見える魚、暗いところでも目が効く魚など、それぞれの過程で視力はさまざまに進化しているようです。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Vision_in_fishes

生物の進化とは面白いものです。

2. 同じ条件で釣果の差が出る要因

それでは、全く同じ船に乗っていても明らかに釣果に差が出てしまうことがあります。それは何故なのでしょうか?複合要因によるものなので、真実は魚に聞くほかありませんというのが回答ではありますが、これでは面白くありませんので、複合要因の主要なファクターを洗い出したいと思います。
 多くの場合、ルアーのカラーが着目されることがありますが、実は魚たちは色の識別能力は人間の識別能力とは同じではないといわれています。実際、深海で魚を撮影するときに、赤い色で撮影するのは魚が視認できないからだそうです。カサゴやメバルやハタなどの根魚たちが赤い色が多いことはまさにこの事実を証明していると言っても良いでしょう。そして真夜中でほとんど視認できないような状況でもシーバス、アオリイカ、そして青物(ブリなど)ですら、捕食活動をとっています。つまりは、釣れる釣れないはカラーリング以外の何かの要素があり、実はその重要な要素がラインの太さとルアーフォルムではないかと考えています。

3. 魚の視力を理解し、釣果へ繋げるメソッド

前述したように魚には近視的に見る力(ルアーを視認する能力)と遠視的に見る力(ラインを視認する能力=線視力)があります。但し、両者の異なる機能を持つ視力にも差があって、近視的に見る視力は0.X程度と非常に低く、逆に遠視的にみる力(単線視力)は1.Xと高い傾向にあります。つまりルアーは視認してもらうことが重要で、ラインは視認されにくくすることが重要ということです。これは特にフカセ釣りやイシダイ釣りをされている方はよく認識されていると思いますが、グレ(メジナ)やイシダイはじっくりと餌をみて捕食するようで、ベテランのフカセ釣りマンの方は、針やラインの細さにはかなり慎重に選択しているようです。魚は針もラインもよく見ているのでしょう。
 ルアー釣りにおいても経験値からラインの細さは釣果に影響があると考えています。ヒラマサのような知力とスピードのある青物は、トップのスローな動きで誘っているとよく見切ってしまうということがあります。これの一つの要因はルアーのアクションやラインの太さが影響していると考えられます。

4-1. 線視力への対策

例えばタイラバであれば、いつもPE1号、リーダー20lbで釣行されている海域なのであれば、あえて40%程度強度を落として、PE0.6号、リーダー12lb程度にするのも手です。ラインを細くすれば感度も高まりますし、ヒット率も高まることを感じることができるはずです。
某ルアーメーカーのプロスタッフもこれは意識していて、普通は1号のPEを使うようなディープタイラバの海域であってもあえて0.6号を使っているようです。
これはヒラマサなどの青物においても同じで、お腹が空いてアンガースイッチが入っていれば別ですが、ラインを太くしすぎるということは見切られる要素を増やしてしまうことになっているようです。ベテランアングラーも根ズレを嫌がりラインを太くしたが、全然食わなくなったなんて話をしています。単純に視覚云々以前にルアーの動きや波動が変化している可能性もあります。

4-2. ルアー視認能力への対策

ルアーは、餌として捕食するわけですから、実はルアー自体が写真のようにリアルである必要性はありません。むしろ動いているときにリアルである必要があります。そのため、全体のカラーリング、フォルム、比重といった要素が餌により近い状態になる必要があります。例えば、タングステンジグ(ミニジグ)は、フォルムを極限まで小さくすることができます。あるとき、このタングステンジグに部分的にグロー系のカラーリングをしてみたところ、明らかにヒット確率が変わったことがありました。自然界にはいない魚です。それでもヒット率が明らかな差がありました。
おそらく、蛍光を小イカかなにかと思ってバイトしているのだと思います。視認されて初めてバイトされるわけで、目立つということは釣果に直結する非常に重要な要素なのですね。反面、目立たせすぎると警戒心を待たせてしまうので、バランスよくゼブラグローにすること、顔の部分だけグローにする、などといった工夫が必要になるのだと思います。実際ルアーを動かしてみると、ゼブラグローは体全体が薄暗く輝いているように見えているようです。

5. 線視力への対応が釣果をあげるための全てなのか?

これまで、線視力と題してラインとルアーに焦点をあてて論じてきましたが、当たり前の如く、ラインやルアーは単なる要素の一つに過ぎません。釣果を上げている人は、ラインブレイクを恐れずに積極的にフロントとリアの両方に針を2本ずつ(合計4本)つけています。そして、釣行のたびに針交換をしていたりします。ラインも毎回交換する人もいます。そうした細かな攻めの姿勢が釣果に差を発生させているということなのかもしれません。
また、線視力も魚によって、年齢によって差が出てくるように思えます。青物系よりも根魚系のほうが目が良い。若い時は目が良く、歳をとると目が悪くなると言うことです。年齢による視認変化についてですが、これはアジングしている方ならすぐにわかると思いますが、10cmのアジを釣るときには0.3-0.4号程度のラインの細さですが、40cmを超えるようなサイズになると何倍もラインを太くしても問題ないことからあきらかです。
このように釣果をあげるためのポイントは一つではなく、その一つの重要な要素をいかにリアルに認識させ食わせるのかなのだと思います。


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