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漫画レビュー「夏目アラタの結婚」

こんばんは。Mickey★です。
毎日、尋常じゃない暑さで、脳みそも溶けそうです。。
私が小学生の頃は、雨が降らなくてダムの貯水量が減少して、水不足です、という報道がよくありましたが、その時でも最高気温は34度とかだったので、この暑さで水不足にならないのが何故なのか、不思議です。

この漫画をオススメしたい人


1.ドキュメンタリーが好きな人
2.サスペンスが好きな人
3.新たな体験がしたい人

この漫画のあらすじ

児童相談所に勤務する夏目アラタは、担当児童の少年である山下卓斗に「父親を殺害した死刑囚に会いに行って欲しい」という依頼を受ける。
卓斗は、その死刑囚から父親の首の在処を聞き出すためにアラタの名前で手紙のやり取りをしていた。アラタは、卓斗が死刑囚との文通を楽しく感じていることを察知し、卓斗が死刑囚とやり取りすることを止めさせるため、『父親の首を見つけること』を約束する。
そして、死刑囚の品川ピエロと面会するために拘置所に訪れる。
品川ピエロは、3人の男性を殺害し、遺体をバラバラに切断して遺棄した連続殺人犯として死刑の判決が下されていた。
テレビの報道からピエロの仮面を被り太った姿の女性を想像したアラタだったが、そこに現れたのはガリガリに痩せて、儚げに見える女の子だった。
品川ピエロは、アラタが手紙の主でないことにすぐに気付き、面会室を去ろうとする。彼女を引き留めようとアラタは、咄嗟に品川ピエロに結婚を申し込むのだった。

「死に方」を選択できることが本当の自由なのかもしれない・・・

品川真珠は非常に頭が良く、人の感情を操る所作や演技力が長けており、序盤は、真珠とアラタの駆け引きが面白いです。しかし、アラタが予想していた反応と異なる真珠の言動を目にして、被害者の遺族や昔の彼女を知る人と接触することで、アラタは本当に彼女を愛するようになっていきます。
本作は、「生きることと死ぬことの選択」をテーマになっていると感じます。
一人で生きる分には、自分自身の人生の責任だけを背負えば良いけど(とはいっても親が居れば、親の世話等の責務はある)二人以上(夫婦、子供)で生きると、その人の人生にも責任を持つこととなり、そういった責任を煩わしいと感じる人が多く登場します。
殺害された周防は、結婚が破談となり心のどこかでホッとしたという気持ちと共に「何かを永遠に継続しろって契約こそが地獄」と吐露しており、裁判で対峙する検事は、「結婚しない前提で女性が28歳になったら別れを告げる」という話をしていたりします。
結婚をした人たちも結婚に否定的な人が多く、拘置所で出会った死刑囚アイテムを集めるおじさんが『お互いに幻想を持たないと続かない』と言い、幻想が途中でズレてダメになったことを話しています。
アラタも自身の家庭環境の悪さから結婚は全く考えていませんでしたが、目的のための形だけの結婚から『死にたい』と考えている真珠に生きる希望を持たせて一緒に過ごしたいと考えるように変わっていきます。
最新の10巻では、真珠自身は自覚していなかったものの、周防を愛していたことをアラタが気付き、一緒に心中することを提案します。
本当に心中というよりも精神をリセットするとかの意味と解釈をしてますが、二人が普通に幸せな暮らしをしているところは想像ができず、ハッピーエンドにはならないだろうし、「命が大事です」という綺麗ごとで終わる感じもしないと思います。

テーマがテーマだけに重いですが、品川真珠の過去、秘密等が暴かれ、サスペンスのような謎の要素が続いて先が気になります。
虐待を受けて育った子のコミュニケーションの傾向とか、駆け引きだけでなく、法律の抜け穴も突いたストーリー展開に作者の人が一人で考えて描いてるなら、本当にスゴイです。

余談ですが、ちょうど一週間前くらいに死刑囚との獄中結婚の記事を読んでいたので、このテーマの漫画があることに驚きました。死刑判決が下されると、面会は家族しか出来なくなるため、家族から見放された死刑囚は結婚や養子縁組を選択することがあるそうです。相手は、情報が欲しいライターや死刑反対派の団体に所属している支援者等のようです。ただ、死刑囚と結婚をすると言っても、家族や周りからの理解が得る必要があり、私が読んだ記事では両親に迷惑をかけないように戸籍を抜いて別の方と養子縁組をした上で、死刑囚と結婚したという人も居り、それまで自分自身と関わりがなかった人と、そこまでして結婚を選択することに理解ができませんでした。
だけど、死刑宣告をされた人からすると、その人が唯一の繋がりになる訳で、その人から頼られることで自尊心を高めたい、話題にして注目を集めたい自己顕示欲が高い人が多いんじゃないかなと思いました。中には、本当にその人を助けたいと思っている人も居るかもしれませんが、なんとなく、自己満足じゃないかと感じてしまいます。。


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