見出し画像

#17 株式投資戦略~元祖バリュー投資~

こんばんは。Mickey★です。
お金を上手に活用することで、お金の悩みから解放され、自由を獲得できる「お金との付き合い方」をご紹介しています。
今日は、前回、ご紹介したウォーレン・バフェットの師のベンジャミン・グレアムのバリュー投資方法について、ご紹介します。


ベンジャミン・グレアムは、アメリカの経済学者でであり、投資家です。
彼は、「バリュー投資の父」「ウォール・ストリートの最長老」とも呼ばれています。

グレアムは、コロンビア大学卒業後、証券会社で働き、1926年に投資会社グレアム・ニューマン社を設立します。そして、1928年にはコロンビア大学のビジネススクールで証券分析やファイナンスを教えるようになります。
しかし、1929年に起こった株価の大暴落と世界恐慌で経済的に追い込まれた状態となり、これをきっかけに健全な投資についての研究を始めます。
彼の研究をまとめた本として、「証券分析」(デヴィッド・ドッドとの共著)、「賢明なる投資家」を出版。
バフェットは、グレアムが亡くなった直後に「ファイナンシャル・アナリスツ・ジャーナル」誌に追悼文を寄せ、「賢明なる投資家」は、証券分析分野の出版物で次点の候補をあげることさえ困難な最高の書籍であると述べています。

バリュー投資

会社の資産価値よりも、株価の評価が下回っている銘柄に投資をする方法です。
グレアムは、投資を「詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。」と定義しています。
株価は、100年というような長期的な期間で見れば、上がり続けているものの、過去には大きな暴落が起きています。
また、企業の資産価値よりも株価を高騰しているものに飛びついて買ってしまう要素はあるけれど、この要素を最小限に抑えて、予測不可能な株価の暴落に備える心理的、財務的に備えることが必要としています。

過去に起きた暴落(アメリカ視点) 筆者作成

グレアムは、投資を行う際に必ず守ってもらいたいこととして、「企業の有形資産価値を大幅に上回る価格の株には手をださない。」ことを挙げています。更に実際に株式を購入する際は、過去10年かそれ以上にわたってその企業が安定した収益を上げており、将来起こりうる低迷に備えた十分な規模と財政的な力を備えていることを確認しなければならないと述べています。

この考えからすると、新しく設立したスタートアップの企業は、手を出さないということになるので、少なくとも会社設立から10年以上経過している会社が投資対象の前提条件となります。

グレアムの投資判断の指標について、紹介していきます。

企業の適切な規模

小規模な企業は、株価が市場平均以上に影響を受けやすいため、投資対象から除外することが推奨されています。
大体の目安として製造業では、年間売上が10億ドル(1308億円)以上、公益企業では総資産500万ドル(6億5千万)以上であることが望ましいとのことです。

※1ドルを130.83円で換算しています

十分に健全な財務状況

製造業の場合、流動資産が流動負債の最低2倍(流動比率2:1)以上であることとしています。また、長期負債が純流動資産を超えないことが重要としています。
公益企業では、負債が株式資本の2倍を超えないこととしています。
流動資産や流動負債は、企業の決算書で確認することができます。
流動資産は、1年以内に現金化される資産のことで、流動負債は、1年以内に支払いが発生するもののことを言います。

以下は、トヨタ自動車の2021年の貸借対照表です。こちらは企業のホームページから確認することができます。
貸借対照表は、右側に企業が持っている資産(車を売って得たお金や不動産、土地等)、左側が企業が持っている負債(車を作るための材料費、設備、銀行から借りたお金、投資家から集めたお金等)で表されており、2つの表の合計が一致する形となっています。この表を見ると、どのくらい借金があるか、どのくらい現金をもっているかが分かります。
細かい説明は割愛しますが、1年以内に入ってくるお金が1年以内に支払うお金より2倍以上あると、お金がどんどん貯まるので、安定しているという評価がされます。トヨタは、入ってくるお金より支払うお金の方が少ないものの、ほぼ同じのため、グレアムの判断基準では、投資対象から除外する形となります。

トヨタ自動車2021年貸借対照表(単位:百万円)

配当金の年数

最低でも過去20年間、継続的に配当があることとしています。

収益の安定性

継続的に利益を出していないと、株主に対して、配当金を払うことができないため、配当金が出ていれば、収益はでていると判断できると思います。
なお、直近10年堅調な収益をあげている企業が安定しているとしています。

売上、利益の伸び率

企業の成長性を計る指標として、1株あたりの利益(EPS)を確認します。
EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、1株当たりの利益という意味です。
EPSは、その企業の当期純利益を発行済株式総数で割ったもので算出できます。

過去10年間におけるEPSのうち、直近3年間の平均が最初の3年間の平均より少なくとも3分の1以上伸びている企業を確実に成長していることの裏付けとします。

妥当な株価収益率

現在の株価が、過去3年間のPERの15倍(3年平均)以下であることを確認します。
PERとは、「Price Earnings Ratio」の略で、株価が1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度のことです。現在の株価を1株当たりの純利益(EPS)で割ることで算出できます。

株価が純資産価値の1.5倍以下

現在の株価が、純資産額の1.5倍(PBR)以下である企業を投資対象とします。
PBRは、「Price Book-value Ratio」の略で、株価と企業の“純資産”との関係を表しています。株価を一株当たり純資産(純資産を株式発行数で割ったもの)で割ることで算出できます。
ただし、PERが15倍以下の場合に、次の式を満たせば、PBRが1.5倍を超えていても許容範囲とします。

PER × PBR < 22.5( = 15 × 1.5)

配当金がある会社=優秀?

グレアムの投資銘柄選定の条件に配当金がある企業となっていますが、私は、あまり配当金がある会社は成長性がある解釈をしていません。
新しい新規事業や研究開発費等につぎ込んで事業を成長していくために、株主からお金を投資してもらっていると思うので、本当に企業を大きくしようとしている企業は、配当金に回さずに、全てを新規事業や研究開発にあてている企業が多いです。
因みにAmazonやMeta(旧facebook)、テスラは、配当金を出していません。

日本では、配当金や株主優待等の特典で企業に投資する人もいると思いますが、収益の一部を配当金として、株主に還元するよりも企業価値を高めて、株価を上げていくことの方が価値が高いのではないかと考えます。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
このレビューが面白かった・タメになったという方は、励みになるので、「スキ」ボタンを押していただけると幸いです。

記事を読んで「面白かった!」、「タメになった!」と思った方、ぜひサポートをお願いします。