「かんだみつきと気絶ー試行ー」、その後

「非常勤」という大学院生、研究者としてはとても馴染み深い肩書きで新しいお仕事を始めることになりました。
ミッキーとしてのお仕事について、誤解を招くこともあるかも知れないと考えて、また始めたばかりということもあり、なかなかお知らせらしいお知らせをせず失礼しました。
「非常勤」というのはキャッチフレーズだと思ってください。
よろしくお願いします。

お知らせにあたって、気絶でメイドさんを始める、というのは自分にとってどういうことかをお伝えしなければならないと考え続けた。
以下はその一端である。

まず、「本とメイドの店 気絶」に出会ったのはどういうきっかけだったか、とにかくオープンを知らせるツイートを見たということくらいしか記憶にはない。
その後、知人を介してお店のことをいろいろ教えてもらい、間借りができるということを聞いたので「ぴち会」というイベントを開かせていただくことになった。
「かんだみつきと気絶ー試行ー」というのがその時のタイトルだ。

「試行」にはいろいろ意味があって、初めての「ぴち会」、そしてそれを「気絶」でやらせていただくということ、さらに「かんだみつき」としてイベントを行うことなど多くの初めてが重なっていたので、まずはお試しという少し弱々しい気持ちを込めてそう名付けた。

これは大変に残念な思い出なのであまり元気には綴れないが、この第一回「ぴち会」は自分の体調不良(というか長期入院!なんということ!)により、中止とあいなってしまった。「試行」の結果はある意味「失敗」でもあった。本当に力及ばず、である(あの時はごめんなさい)。

それで結局「かんだみつきと気絶ー再試行ー」と題して、ようやく初めての気絶での「ぴち会」が実現した。
打ち合わせの段階から「気絶」さんをすっかり気に入っていたので、そこでイベントができることがとても嬉しかったし、どう?ここ?素敵でしょ?と実は大してお客さんとしては通ってもいないくせに、どこか自慢げな気持ちで楽しい時間を過ごした。

「ぴち会」が何をするところかは、冒頭にしれっと貼ったリンク先にも具体的に書いてあるがそもそもは、かんだみつきに出会ってくださった方にお会いしたい、お礼やお返しがしたい、という気持ちに始まり、そして個人的にはかんだみつきとして積み上げてきたものを継続させる場をどのように作るかというまさに「試行」の結果であった。

また「【有料記事】ぴち会だより・テスト」に綴っている言葉もその思いの一部である。

だけどどんどんかんだみつきがなんだかわからなくなってきている。のもある。
ミッキーはミッキーが好きなので少し不安です。
(中略・以下有料部分)
歌もダンスも好きなんだけど、得意じゃないの。
だから1人ではとても無理だし、でもなんとかそれが許される方法はないかなーともいつも考えている。どうやって何を表現したらいいんだろう。きっと何かあるはずと思っていつでも探してはいます。

ここでも「テスト」という言葉を使っていて、どれだけ探り探りなのかと、どれだけ試すのかと、及び腰な自分に少し笑ってしまう。

及び腰な理由は、自分に自信がないからだろうと思う。
自分のことは大好きで自信たっぷりだが、それを誰もが認めてくれるわけではないし、認めてもらうことは必須じゃないにしても、不快な気持ちにさせたくない、つまり不愉快にさせない自信がないのである。
あまりにも言うことがコロコロ変わるので、応援してくださっていた方を本当にがっかりさせてしまったこともある。

また不愉快ということではないかも知れないが、「ミッキーって何がしたいの?」「辞めたんじゃなかったの?」と言われたり、思われたりしたことは恐らく星の数ほどある。
(何を「辞める」のか、「辞める」とは何か、ということについては、さらにもっと深く考えるべき問題とだと思っているのでここではふんわりさせておくけれど、これはとてもとても大事)
それによって誰かに何か不利益をもたらそうとしていると思われ、結果的にそのような不義理を働くことにもなるかも知れない。
そうなった時にまたミッキーがミッキーとして顔を出すことにはやはり自信がなくなってしまう。

ミッキーであることには、自分が思っている以上にいろいろな意味が付されるのだと思う(これも本当に大事な話だけどとりあえずこれで終わり)。

そういうわけでミッキーとして何かすることに誰もが納得のいく言葉を用意しなければならない、と思い続けているが、それも非常に難しく、どこかでは誤解が生じるだろうと思う。
ただ、そのための試行は続けていきたいという気持ちはあるのだ。

そんな時に「気絶」で働く人、メイドさんを募集していることを知った。
気絶は冒頭にも挙げたとおり「本とメイドの店」であって「メイド喫茶」や「メイドカフェ」ではない。以下、公式サイトより。

気絶というお店を一言で説明するのは難しいですが、メイドさん・メイドくんのいるBOOK BARということにしておいてください

当店、メイドはいますが「萌え」はありません。個性的なメイドたちとの会話を楽しんでいただくためお店です

漫画・テレビゲーム・アート・デザイン・アニメ・アイドル・海外ドラマ・特撮・コンカフェなどキャストによって得意分野は違いますが、お客さんと肩肘張らない趣味の話で盛り上がりたいと思っています

もちろんブックバーを名乗っておりますので店内の本をじっくり読んでいただくこともできます


何が、どこが違うのか、というところはいろいろあるが、個人的に大きく感じている違いは「メイドさん」のパーソナリティやキャラクターが店の一部でありながら、それを個別に商品として機能させていないところだ。
「気絶」では、「推し」や「ファン」という言葉に重きをおかないどころか、基本的には相対する立場をとっている。これは大変に興味深い。
店から「メイドさん」だけを取り出すことはできず、「気絶」と「メイドさん」は分かち難く結びついている。
また「メイドさん」は非常に個人でありつつ(「個性的」)、歪な集合体でもある。(ここが萌え売りをしていないスタイルの他のメイド喫茶との違いと感じているが、門外漢でもあるので間違っている可能性はある。ご指摘ください)

そこにミッキーがいるということは、ミッキーでありつつ、ミッキーのミッキー性を保ちつつも、ミッキーであることが商品にはならないということである。
これは何か新しい「試行」になるのではないか。
かんだみつきを継続させる場として、引き続き「気絶」さんで「試行」を重ねることはできないだろうか、と考えて以下の資料を作成した。

スライド01

スライド02

スライド03

スライド04

スライド05

スライド10

(働き始めてから改めて読むとあまりにも恥ずかしいことが書かれていたので一部抜粋!)

応募の際に必要とされるプレゼンテーション素材だが、作文(1000字)は確実に字数が足りなくなりそうだったので(1000字!)面白みはないがいつものように、と学会発表のテンションでパワーポイントで作成した。
簡潔に内容を伝えるのであればスライドを作ればなんとかなるだろう、というのは研究者の手癖だろうか。
(当初は音声も入れようと思ったが結局冗長になりそうだったのでやめた)

すると想像以上のスピード感で反応をいただき…

いろいろお話をさせていただいた上で、お仕事を始めることになった(冒頭に戻る)。

これまでミッキーがさせていただいてきた歌って踊るアイドルとしてのお仕事は本当に大好きで、自分にとって大切だったが、何より現状、研究生活との両立が全くできない。
もちろんこの世で現世で可能性が全くないわけではないが、今実際に優先するべきは研究である。
その中での試行錯誤として、かんだみつきと気絶を始めたいと思うのである。
そこでは研究への刺激やインスピレーションも期待しているし、もしお世話になった気絶さんのお役に立てることがあるのであれば(人手という意味で)心から何よりである。

気絶においてかんだみつきであることは重要ではないし、重要でもある。
そうしたバランスの中で大好きな本に囲まれて、大好きなおしゃべりをさせていただけるのは本望だ。
どうぞあまり深く考えずに、ミッキーがいてもいなくても、気絶にいらしてください。詳しくはお話ししましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?