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【読書】自分が自分であるために

★基本情報


『イヤシノウタ』吉本ばなな著

新潮社 / 2018年10月27日発売

2022年3月3日 読了

★書籍の紹介文


気づいたら周りに同調してしまいそうになる自分が、自分自身の人生を生きるにはどうすればいいのか、アドバイスをくれる本。いろんなかっこいい大人たちの生き方を紹介している。

★6個の抜粋ポイント


1.自分に嘘はつかない
結婚していようがいまいが、手放しで幸せな人はいないということや、人生はたいへんだから楽な人生の人などいないということや、社会は男の人を中心に回っているということや、私のように好きなようなものを好きな人はとても少ないということや。

もちろん苦しいこともあるだろうし、人と違うことでいやな思いをされることだってきっとあるのだろう。でもその人たちは、、、悔いのない雰囲気の中で作品と人生をきちっと美しく積み上げていた。

嘘のない人生、これを幸せと言わなくてなんと言ったらいいだろうというくらい、彼女たちは生き生きとしていた。

2.神様のテンポ「ま、いいかの心」in バリ
彼らは働いていないわけではない。
そしてさぼっているわけではない。
人に見られているから仕方なく働いている雰囲気を出しているわけでもない。

あのテンポや雰囲気ややり方こそが、ほんとうに人が「働いている」という感じなのではないかな、と私は思った。しゃかりきでもない、なにも目指していない、でもさぼってない。神様のテンポ、自然の中で違和感のないテンポ、自然の中で違和感のないスピード。完璧でない掃除だが、毎日繰り返しても飽きることはない。

3.自分そのものになる
若木くんは若木くんになるために若木くんを磨いてきた。
人がその人でいるだけで起きることの可能性の大きさに、身がすくむ思いだ。みんながその人そのものになったら、ああなりたいこうなりたいと細工しないで己をつきつめたら、世界はどんなところになるのだろう。戦争さえもなくなるかもしれない。
彼の生き方は未来そのもの、そして先住民たちはみなこういう知恵の中で暮らしていたのだろう。

4.毎日おきている奇跡を見逃していませんか?
猫と手をつないで同じ枕で寝ることができるなんて、お話の中だけだと子供の頃思っていた。でも毎日そんなふうに奇跡が起きている。猫が光ることを知らないであるいは知っていてみんな小さな奇跡をたくさんもって生きている。

そういうすごいことに比べたら、お金のことだとか人間関係の悩みに時間を割くことがもはや冒瀆に思えてくるくらいだ。こんなふうな奇跡が毎日待ち構えているのに、見ようともせず耳をふさぎ、あえて苦しんでいるのが人間というもの。

5.自分とお金
とても大切なことは、自分が自分の好きなものを着て、自然にふるまえる、そういう場所で使う金額の基準こそが、自分の人生で必要なお金の基準なのだ。ホテルの設備、航空会社の快適さ、家のどこかにお金をかけるかなどなど、全てに当てはまる。つまりそれ以上は稼ぐ必要が全くないということでもある。どんどん稼げばいいという勘違いもここで解消される。

まずは自分だ。自分がどういうことを好み、どのゾーンに属しているか。
これさえ決まれば、なんと人生のパートナーも自然に決まってくるし、どのくらい働けばいいかも決まってくる。

生きていける分稼いで、自分にとって快適な環境を知恵を尽くして探して、探求していく道の半ばで命尽きればいいのではないだろうか。

明日できることは明日やるという程度のゆるみでは、仕事がまったくできなくなったりはしない。どこかで無理をするとあとで必ずそのゆがみがなにかの形で現れる。

その法則さえ信じていれば、なにも怖いものはない。わくわくした気持ちでフレッシュなエネルギーに触れることも楽しみになる。わくわくしないからこそ不安だったり保身ばかり考えたりするのではないだろうか。

体のスピードは人それぞれ。それぞれが忠実に生きて、手を抜かずかといってむりもせず、むりをしたら数日かけてそれを取り戻し、熱が出たら素直に休み、それができたらもう少しみんな他者に影響されずに生きられるのではないだろうか。

6.自分の体に失礼なことをしない
きっと私も、声とかなにか大切なものをすりへらしているのではないだろうか?それって体に対してとても失礼なことなのではないか。

菅啓次郎先生「みんな、ネットなんてしないで、夜はゆっくり寝たらいい。いくらだって寝たらいい。8時間でも9時間でも。たくさん夢を見るのだって、意義がある時間なんだから」

「歯に対する思いやりを少し失っている期間だったんだなあ、という口の中です。でも、歯は裏切っていない。がんばってくれてる。ただ、これ以上思いやりが足りない生活をしていると、歯が疲れてふんばれなくなって、そこがきっかけで歯周病になっていく可能性がある。だから今日から歯に思いやりを向けてあげてください」

★3個の行動ポイント


・自分が本当にやりたいことから逃げない。自分に言い訳をしない。
・自分が自分であるための努力をする。
・体を大切にする。

★好きなことば


・「神様って、その人の覚悟だけを見ていて、神様をあてにしないで覚悟のままに頑張れば最後の最後のひとおしだけは手伝ってくれるんですって」

・明日できることは明日やるという程度のゆるみでは、仕事がまったくできなくなったりはしない。

★ひと言まとめ


まわりが結婚ラッシュ、日本の満員電車と激務をこなす日々の中で読んで、「私なにがしたかったんだっけ」と振り返る機会を与えてくれたよしもとばななさん。私にとって彼女の本は、行き詰ったときに必ず力を与えてくれるものです。

バリのホテルスタッフの働き方を「神様のテンポ」と表現しているところが、言いえて妙です。日本人のミャンマー駐在者はミャンマー人ののんびりな働き方に不満な方が多かったようですが、現地の人目線で見れば、家族や自分の健康を犠牲にしてまで会社に尽くす方がおかしいと思うのです。自分の知るミャンマー人スタッフは子供も両親もいとこも兄弟も本当に大事にしていて、満員電車にいる日本人よりは目に活気がある。ミャンマー人と、エリート日本人駐在員に挟まれながら溜まっていた自分の中のもやもやが「神様のテンポ」という素敵な言葉を与えられて、なんとなくスッキリしました。


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